錦織にとってこの何年かはケガと故障でつらい日々を送っていたことは想像に難くない。だが、彼が全豪の舞台に帰ってきた。1回戦、モンテーロに2セットを先取され、途中、腿の内転筋の痛みでメディカルタイムをとり、2度のマッチポイントを握られながらもしのいでフルセットで勝ち2回戦に進んだ。結婚して子供が生まれたころ、リハビリの日々で、それこそ血のにじむような努力をしたのだろう。彼のモチベーションになったのは、もう一度這い上がって子供にコートでの勇姿を見せたいという想いだったのではないか。いくつになったかは分からないが、もう試合をする父親のことが分かる年齢のはずだ。松岡修三もコートサイド解説で、全盛期を彷彿とさせるプレーをしていると太鼓判をおしていた。全豪で1勝をあげたことは日本のファンにとってとても嬉しいことだが、我が子に凛々し姿を見せられたことが錦織にとって何より喜ばしいことだったのではないかと思う。5セットマッチを戦うことは、まだ錦織にとって大変なことかもしれないが、リカバリーする時間は十分与えられている。厳しい状況であることには違いないが、何とか、2回戦でも健闘してもう一度、我が子に勇姿を見せてあげてほしいと願わずにはいられない。