奈緒主演のこのドラマはクズ男を殴りたくてボクシングを始めた、結婚式で新郎に逃げられた過去を持つあまりあか抜けない女性の話。玉森裕太、渡部篤郎など俳優陣が好演しており、面白くて結構はまっている。

 昔、ボクサーだった玉森が、同じジムの尊敬する先輩との試合で相手が試合後に亡くなって7年間もそれを引きずって、すさんだ暮らしをしている。それは分かるのだが、引っかかるのは亡くなった先輩の父が、玉森を許さず、息子はお前に殺されたと恨み続けている点だ。ボクシングというスポーツを考えれば、当然殴り合うのだから命の危険と隣り合わせなわけで、死因は定かではないが、試合中の玉森のパンチが原因だとしても、それはあくまで事故であり、親族が激しく憎むという設定がそもそもおかしいし、実際にボクシングに携わる人たちにも失礼な気がする。それさえなければ、奈緒も相当ボクシングを練習したと見えて役作りのためとはいえ凄い女優だなと感心するし、登場人物の心の機微が丁寧に描かれており、後半の展開が楽しみなドラマだ。