全米オープン、予選が始まる前、フェアウェイに打たなかったらほぼチャンスはないと深刻そうに言っていた松山。2日目、4バーディノーボギーで全体1位のスコアで50位から8位に浮上した。あとの5人の日本人は清水のプラ6以外カットラインにかすりもせずに予選落ち。星野、河本はブービー。確かに今回、石川遼はこれまでになく調子が良かった。お得意のダボも2日で一つ。バーデイもいくつか獲って最終的には8オーバーと健闘した。だが、試合前に「難コースだが楽しみたい」と言った時点でやはりスポット参戦ではしゃいでいる観光気分で来た選手だなと感じたとおりになってしまった。河本も含め日本だけの予選会とは一体なんなのか。久常涼ですらアメリカでの予選を勝ち抜けなかった。本来、ストレートインしてもおかしくない選手なのに、日本でも勝てない連中がなぜ出ているのかと怒りさえ覚えた。もう日本でやる予選会は廃止してほしい。

 さて、松山だが、盛んに言われてるとおり、難コースに強いというのは事実だし、それはとにかくパーでしのいでチャンスを待つという、技術に裏打ちされた忍耐力を持ち合わせているということなのだろう。明日からから楽しみにしていますというインタビュアーに、笑顔も見せつつ「勝手に楽しんどいてください」と言ったが、やっている本人はどれだけ苦しいくてツライのかということにほかならない。でも、ゴルフが好きで辞められない、勝つための挑戦をし続けたいという決意の表れなのだろう。松山のプレーを観ていると、不憫で時々こちらも苦しくなってしまう。外国の選手のように、パットを外しても怒ってクラブを投げたり、あからさまに不機嫌な態度をとるわけでもない。まさに名だたる武士のような泰然自若とした振る舞い。もちろんファンとしては誇りに思うし、今回こそ優勝してほしいが、贅沢を言うつもりはない。あとは気まぐれなゴルフの神様が誰に微笑むか、ただそれだけだと思っている。