シーズン3はまだ配信されて間もないし、これから観る方もいると思うので内容に関してはなるべく書きたくないが、一つだけ、食事の時に3年生の生徒が、5月1日が休みだが何の祝日かと話すと、シーモンが祝日ではない、メーデーは労働者がデモンストレーションする日だと反論する。その生徒はそれに参加するのはここではお前だけだと馬鹿にしたように言い放つ。これはスエーデンでも当たり前に存在する格差社会を象徴するようなシーンだと思う。

 ウィルの告白がさまざまな批判を受ける中、紆余曲折の末、最後はこうなってほしいが、やっぱりこうなるだろうなという結末だった。

 Young  Royalsはもちろんゲイを扱ったドラマと言ってしまうのは簡単だが、もっと深いメッセージがあると感じられる。スエーデンでは18歳で成人だが所詮高校生、特に寄宿舎という閉鎖的な場所でのパーティで薬やお酒を飲んで大騒ぎするのは珍しくないのかもしれない。16歳から18歳、もう子供ではないがまだ分別のある大人でもない。危うくて、もろくて、反抗的で、非常識で自分勝手、でも友人は大切にする。そんな高校生の実態が実によく描かれている。あと、格差社会の問題。人種差別問題もそこここにちりばめられている。

とにかく脚本が本当に素晴らしい。制作現場にいつもいるまだ40代ぐらいの女性だが、嘘のない、リアリティを追求していて、凄い才媛だと思うし、これからも素敵なスエーデン発の作品を生み出していくのではないかと楽しみである。

 最後に、彼女が最も言いたかったのは、やはり年齢や性別、階級は関係なく、ウイルとシーモンのようにどんなに欠点を見せ合っても喧嘩してしも、人は人をこんなにも深く愛することができるということなのではないか。本当に忘れることのできない作品に出会ってよかったなと思っている。