朝、目が覚めた時、フリーダ―ボードを見るのが少し怖くて、廊下を歩いていた主人に寝床から 「まっちゃん、どうした?」と聞くと「優勝したらしいよ」「ええー?」と飛び起きてテレビをつけた。昨日は明け方から起きていたのに、ばかばかばかっと思わず自分の頭を叩いてしまった。首位と6打差の7位タイからのスタート。3日目の最後連続バーディで終わっていたので何とかトップ10に入ってくれ、大崩れしないでくれと祈っていたが、明け方に起きなかったのはやはり松山の底力を信じていなかったからかもしれないし、3日目までの寝不足で疲れ切っていたのもある。観る側が疲れてどうするんだという話だが。

 直後の再放送を観る限り、彼は完全にゾーンに入っていた。9バーディノーボギー、2位に3打差の17アンダーの見事な優勝。松山より、予選落ちしてから観戦していた久常が早藤キャディーを抱え上げて大はしゃぎする姿が映り日本陣営には微笑ましい光景が広がっていた。どうやら久常にとって松山の背中は再び遠くなったようだが、久常はむしろそれが嬉しかったのかもしれないし、新たな闘志も湧いてきたのではないか。

 ド素人の自分が勝因などと言うのは僭越以外の何物ではないが、長い間の追っかけからすると、松山が4週連続で試合に出たという記憶がない。首のケガから癒えたとはいえ彼の疲労は当然ピークに達していただろう。今回それが上手く作用して、最終日には疲れから頭がからっぽになり余計なことを考えず無心でプレーできたのも優勝できた一因ではないかと思う。

 世界ランキングは20位にまで上がりフェデックスポイントは3位になった。これ以上ランキングを下げたくないと決死の覚悟で臨んだ4連戦は最高の形で実を結んだといえる。

 実は、昨日の試合後、たった一人バンカーショットの練習をしている姿を観て、凄く胸が熱くなった。ねー神様観てますか?彼はこんなに努力しているんですよ!!そんなことをも考えた。どうやら今回に限って、久々に神様は松山を見てくださったのだなと感謝しつつ、松山の快挙を心から祝福したい。