日本人女子選手の卓球のレベルの高さや層の厚さは年々上がっている。今回、世界ランキングでもポイントでも張本美和を上回っている伊藤が団体戦メンバーから落選したことに一定程度の反対意見は出ている。例えば何のためのポイント制なのかとか東京オリンピックのメダリストへの敬意を払うべきべきなど。しかし、やはり最後は彼女の人間性の問題による結果なのではないかと思う。もちろん団体競技の選手も負けず嫌いでなければ決してトップには立てないが、特にテニスや卓球、ゴルフなどの個人競技は凄く気が強くて少し自己中でなければ勝てない。しかし、それをあからさまに表に出すか出さないか、謙虚な面を持ち合わせているという自己演出をできるかできないかで周りの見る目は変わってしまう。

 そういう意味で、伊藤はプライドの高さや負けず嫌いな性格を行動や言動に出してしまうことによって損をしている。水谷隼が、「くそ生意気なガキ」と言っていたが、どんなに幼なじみで仲が良かったとしても、10歳以上も違うレジェンドを人前でも「ジュン」と呼び捨てにするなどほかの選手からしたら考えられないだろう。今回も個人枠を失った試合後の対応はまずかった。ショックを受けた直後とはいえ、もう23歳の大人だ。個人戦は負けてしまったが是非、団体戦で頑張りたいとでも言えば、結果は違ったものになったかもしれない。

 確かに伊藤はリザーブには向かない。しかも3枠目が張本美和でよかったという意見のほうが圧倒的に多い。卓球に対する姿勢は誰よりも真摯だし、オリンピックや世界選手権での功績は一言では言えないほど凄いものだ。しかし、少し落ち目になってきた現在、伊藤に同情する人があまりいないのは、これまでの「俺様気質」のつけが回ってきたと言ったら失礼だろうか。