とにかく日本が強い。世界ランキング16位のチームで戦うネーションリーグ6連勝で迎えたブラジル戦、1,2セットを先取するが、ブラジルが本気を出し2,3セットを奪取され、ファイナルセットにもつれ込んだが、日本が振り切って30年ぶりに勝利した。解説者が、もう今のチーム力からすれば、金星などではない。対等のチームからもぎ取った勝利だと絶賛していたが本当にその通りだった。
50年近く前、日本の男子バレーは世界に君臨していた。1972年のミュンヘンオリンピックでは松平監督のもとで金メダルも取った。しかし、各国が日本のバレーを研究しはじめて、コーチなども日本から招へいするなど、どんどん強くなっていった。もともと身体能力の高い中南米の選手たちは年年力をつけていき、日本を追い越していった。その後、日本男子バレーは長い長い低迷期に入ることになってしまった。
高校のころ、バレー少女だった私は部活が終わると代々木の研修館で練習している男子バレーのボール拾いに行って、黄色い声で声援を送ったものだった。今思うとテニスだゴルフだといろいろなスポーツをやってきたが、やはりバレーボールは青春の日々の象徴であり、一番好きかもしれない。しかし、低迷期に入ってからは、段々と熱はさめ、挙句、目を背けるようになって行った。我ながら冷たいファンだったと反省しているが、あまりにも長い間、期待を裏切られ続けててしまったからと言い訳になるが言いたい。
それゆえに数年前、特に期待もせずに何となくテレビでバレーを見たときの衝撃は忘れられない。石川祐希、西田有志等の目の覚めるようなプレー。これ日本人なの?というぐらいの身体能力の高さ。石川は大学時代からイタリアのセリエAに移籍して今年で8シーズン目。今ではセリエAでもっとも人気のある選手になった。西田も石川の後を追ってイタリアに渡り、国内では石川をもしのぐ人気者の高橋藍もイタリアに在籍している。
石川は「強くなるためには、どんどん世界に出ていき個々の選手が力をつけなけれならない」と常々言っているが、まさに今の男子バレーは史上最強であり、まだまだ進化をしていくはずだ。
試合中にアナリストたちがいろいろ分析して監督に伝えるIDバレーを各国が当たり前のようにやっているが、私はあまり好きではない。もっとシンプルに、コートの上で選手が考え、話し合いながら試合をやっていくべきではないかと思うのは時代に即さない考えなのだろうか。第一、いくらアナリストから指示が出ても選手がそれに応えられる力がなければどうにもならない。
結局、石川の言うことが一番正しいのは間違いない。まだまだ試合は続く。もうオリンピックに出るのを目標にする時代は終わった。是非、パリ五輪でのメダル獲得を期待したい。この望みは欲張りではないと信じている。