ZOZOでのタイガーとの死闘が記憶に新しい松山。月曜日に試合を終わり火曜日に上海に入り、水曜日のプロアマ出場のみで木曜日が上海1日目。もちろん他の選手も条件は一緒だが、松山ほど心身ともに疲弊して試合に臨んだ選手はいなかったのではないか。ケーブルテレビの生中継を観たが、朝の松山は顔もむくみ、明らかに体調が悪そうだった。

 ZOZOの試合後、「タイガーを追いかける選手が10人ぐらい居たら気が楽だったが、自分だけだったので、とにかく試合を壊さないことだけを考えてやっていた」「日本人の声援のお陰で何とか頑張れた」と、日本開催のホストプレーヤーとしての責任と重圧、そして観客への感謝を控えめに語っていた。しかし、彼の口から「疲れている」という言い訳は一切聞かなかった。

 上海1日目、3オーバー70位と出遅れた。ケーブルテレビで生放送をやっていたが、解説者が松山のファンなのか、「ZOZOの大会中、松山選手は日本人として、その期待を一身に背負った重圧から眠れなかったと思いますよ」と精彩を欠くプレーに対して同情する気持ちを隠さなかった。まあ、このまま下位で4日間終わっても、責める日本人はいないだろうと・・・でも、松山がこのまま終わることはないのではとも.・・・

 2日目から出かけてしまったので、ライブで観ることは出来なかったが、ネットで経過を見ては一喜一憂していた。4日間の結果はランキング2位のマキロイ(北アイルランド)が、19アンダータイで、アメリカの選手とのプレーオフを制して優勝し、終わってみれば松山は11アンダーで11位タイまで順位を上げた。

 一方、日本選手は川村昌弘という欧州ツアーを回っている選手が20位代という以外、他の日本人は惨めな結果に終わった。

今平周吾は、この大会では、どうせ勝てないからと、2年連続賞金王を狙うために上海を辞退して出場した国内戦は外国人に負けて2位。

今平の辞退で繰り上げ出場した石川が日本人最下位。 石川はZOZOの前には「今までで一番いい状態」と言って57位。上海1日目には「このコースで最も飛距離が出た」とイーグル締め3アンダーで口も滑らかだったのに、やはり2日以降崩れて、最終的には67位。彼についてはコメントのしようもない。今平に関しては情けないとしか言いようがない。この2人が賞金王争いをしている現状を見るにつけ、来年の東京オリンピックを控えて日本人のゴルファーのレベルの低さに暗澹たる気持ちになる。

 松山も前回のリオ五輪を回避した時には少し失望したが、3年の時を経て、「東京では金を狙う」と、きっぱりと言い放ち、海外で過ごせば過ごすほどに強い愛国心を持つようになってくれたことが頼もしい。松山は決して愛想がいいとは言えないが、今大会でも初日を含めて謙虚なコメントを聞くにつけ、人としても成長したなと感じる。実るほど頭を垂れる稲穂かな。今の松山にはその言葉が似合う。

 それはともかく、松山以外のオリンピック選手が見当たらない寂しさ。他の日本人選手のウルトラ級の奮起を期待したい。