「主審は物が飛んでこない限り、試合を続行すると言った。傘が飛んできたが、傘が物ではないと初めて知った」

試合後、ジョコビッチは負けた言い訳はしたくないと言いながら、こんな皮肉で、強風の中で試合をやらされたことへの不満をぶちまけた。世界一の選手にしては情けない。風はナダルにもフェデラーにもティームにも同じように吹いていた。実力もさることながら、負けず嫌いなのも世界一なのだろう。これだけ圧倒的に強いのに、人気も、選手たちからの尊敬も今一つという理由は、、この人間性にあるのかもしれない。

 ファイナルセット、1-4から、4-5として、緊張から3本のマッチポイントを逃したティームに対して5-5まで追い上げたが、最後は7-5で力尽きた。

 終始、主導権はティームが握っていた。ティームは本当に強くなった。風、風と言うが、普通のコンディションでも、ティームは勝っても不思議ではないプレーをしたと思う。

今回の全仏のセカンドウイーク、トップハーフの選手が天気に翻弄されて、ボトムハーフの選手は休養を十分にとれた。確かに不公平な状況である。

 現在、4大メジャーで、開閉式の屋根どころか照明もない、まるでゴルフのように日没順延になるのはローランギャロスだけだ。自然との共存もいいが、今回のようなことが起こると、やはりこのままでいいのかという疑問がわく。ウィンブルドンのウエアーが白限定ということに対しても、最近、選手から不満の声が上がっているが、そういうこととは全く別問題だ。昔の人間なので白限定には賛成だ。

 資金がないわけではないだろう。しかも、世界的に異常気象が起こるようになった現在、大会側は今回のことを教訓にして改善を考えるべきなのではないか。

 さて、今夜の決勝は、ティームは3日連続の試合。一方のナダルは十分休んで万全の体調で臨んでくるだろう。圧倒的にナダル有利と言われているし、前人未到の全仏12回目の優勝がかかっているナダル。錦織も負けているし、ファンとしては是非勝ってほしい。

 しかし、ティームはまだ24歳と若い。ジョコビッチを破った勢いもある。勝機がないとは言えない。今夜22時、決戦開始。また、雨だ台風だということがなく、良いコンディションで試合が粛々とおこなわれることを祈りたい。