ピコレーザーというのは正式な呼び名ではありません
レーザーは組織への選択性を光の色(波長)と熱・衝撃波によるダメージの程度(パルス幅)によって狙うことで正常な皮膚へのダメージを少なく、病変のみに効果を施す治療です
このパルス幅というのは照射時間を指し、
①長く照射すれば熱が蓄積し、
②短く照射すればA)熱ダメージを少なく、B)ハイパワーが瞬時に入ることによって生じる温度差の歪みから生まれた衝撃波を生じる(光音響作用といいます)ようになります。
①を利用することで黒子(皮膚腫瘍)や赤み(血管病変)、コラーゲンなど細胞またはそれ以上の大きさをもつ組織を破壊することができ、
②を利用することで細胞を破壊することなくメラニン色素などのごく微細な組織のみを破壊する、それにより肌によりダメージを少なく治療を行う、ことができるようになってきました
一般的にロングパルスと呼ばれるのはパルス幅がミリ秒レベルであり、超短パルスと呼ばれるものがナノ秒、ピコ秒になっています。
ミリ秒(ms)=10⁻³ >
マイクロ秒(μs)=10⁻⁶ >
ナノ秒(ns)=10⁻⁹ >
ピコ秒 (ps) = 10⁻¹²
超短パルスというのがイメージがつかないような数字であることがわかりますよね
ここまでくるとわかると思いますが、このパルス幅がピコ秒のレーザーをピコ秒レーザーといい、現状Nd:YAGとアレキサンドライトが発振源として採用されている機械が使われており、ピコレーザーというとNd:YAGなのかアレキサンドライトなのかわからないのですが総じて簡易的にピコレーザーという言葉が一般的に認知されてます。
さて、ピコ秒レーザーはその超短パルス発振により照射した部位に瞬時に熱が入り強い温度差を生じることで空間に歪みが生じ、衝撃波(応力)を生じる光音響効果という効果があることが言われています。この効果は波長(色)による選択性はないとされており、カラフルなタトゥーを除去することを最大の目的に開発されました。
実際にはかなり薄いシミでも治療が可能になり、白斑などのリスクもほぼないだろうと美容の領域でも主流になってきていますが、実際にはピコトーニングでも頻回にやりすぎれば白斑を起こすことが報告されていますし、薄いしみには効果的だけど濃いシミは逆に取り残しが生じることも臨床的に経験されています。そのため、美容大国である韓国ではピコ秒レーザーの適する病変を薄いシミとタトゥー除去に限定し、通常のシミ治療やトーニングはQ-スイッチ(ナノ秒)レーザーに立ち戻るという方向にシフトしてきているそうです
日本にピコ秒レーザーが発売されてから約10年ほど経過しますが、新しいもの = いいもの!ではなく、やっとピコ秒レーザー、そしてそれ以前からあるQ-スイッチレーザーの適応というものが定まってきたのかなと感じる今日この頃なのでした
なんとなく、ピコレーザー=最新でいい機械!というイメージがつきすぎているのがなーと…、ひとりごとでした笑
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