・耳鳴り・

こんな気持ち良く酔ったんは久しぶりやし、
ホンマは言ったらアカンねんけど…
お前だけに話すんやから絶対誰にも言うなよ…
~…
もうかなり昔の事や…、
当時、勤めとった会社で二年目くらいの頃やったかな…
同期で、たったの三ヶ月で辞めて行きよった奴が居ってな…
そいつから急に電話かかってきたんや
何か?思ったら…
「週末だけ俺の仕事手伝わへんか?」
って話や、
連休前やったし、
そいつとは仲良かったって事もあって、
その日の夕方に
仕事の内容だけ聞く事に成ったんや…
何でか待ち合わせ場所は
へんぴな雑居ビルの前やってな
今は納得もするけど
最初は何や?思たで…
ちょっとしたら
そいつから電話有って
もうちょい待っててくれ言いよる…
しぁあない思てたら
目の前に人が落ちて来たんや…
冷蔵庫でも落ちて来たんか思うくらいのエゲツない音やったんや…
気付いたら耳鳴りしとる
周りに人が集まってくる
その隙間から見えてた
死体には赤とも黒とも
言えんような血が流れとったわ…
歩こうとしても膝が震えとる、その場でジッとしてたら、
手を引っ張るヤツが居る
見たら…
やっと来よったツレや
助けてくれるんやと
思って、只ついて行ったでぇ
しぁあけど…ちゃうんや…
この世にはな…
自殺したいけど決断出来んと誰かに最後を見てて欲しいとか考える奴等が居るらしいんや…
そいつの商売は
そうゆう奴等から金貰うて最後を看取る…
通称・看取り屋や…
俺はまんまと
その手取り10万の商売の片棒担いでもうた…
その日からは毎晩
耳鳴りで眠れん様に成ってもた…
でも、しばらくしたら
何でかな…
また無性に死体が見たく成ったんや…
目の前で死んでいくヤツや…
それで、たまに看取り屋をやる様に成った…
でも悪い事ばっかりは出来んなぁ…
そいつが捕まって
その商売も終わった…
あれ以来、
何にも興奮せんのや

ホンマに久々に酔うたわ…
え?この後?
お前、俺を風俗にでも誘うつもりやろぅ…
残念やけど行かへんで!
俺はなぁ…もう…
目の前で人が死なんと
勃たんねや…

(終わり)