・Breakthrough・

ずっと、
生きていく…
と、云う事に
興味が沸かなかった。
責任を持とうとしなかった…
とも言える…

幼い頃から病弱で
度々、家で寝ている事も少なく無かった。

身内はひどく心配して
この先、生きていく事が
どれほど困難な事かを
幼い自分に話して聞かせた…
物心つく頃には、
身体の弱さは
自分の意識の弱さとして叱責された。
その度に、
"勝手に心配して
安心したいが為に
人を責める"
大人とは、そんな生き物なのだと思うように成っていた。
「これだけ心配させたのだから、
お前は、みんなを安心させる生き方をして
みんなに恩を返さないといけない!」
そんな思念を貼り付かせた
周りの献身が、
自分の将来から
夢見る隙間を削っていった…
いつしか、
"生きる事は難しい"
と、刷り込まれた自分の意識は死を夢見るように成っていた。
中学生に成った頃
再び持病が再発し
激しい運動は控える様に…と医師から伝えられた時、不思議な安堵を憶えたのも、
その為かも知れない。
しかし再び叱責される日々も始まる…
身内だけに止まらず
見知らぬ客人から
如何に
"神に対する感謝が足りない"かを説教される事も有った…
それほどまでに
自分と云う存在は
罪深かったのだろう…
もう、
やってくる死を
夢見る日々では
足りなかった…

いつからだろう…
世界の果てを探すように成ったのは…
そこに行けば
生きるでも無く
死が緩やかに始まると
感じていたのだ。
命を冷凍してしまえると思ってしまったのだ。

でも、
世界の果ては
否、
救いは…
妄想でしかない…
言い換えれば、
人は妄想でしか
救われないのかも知れない。

なぜなら
人は自分の為に生きる
生き物では無いからだ。
その事を受け入れるのに
時間はかかるだろう…
でも、
たとえば
君の為に生きる事が
許されるのなら
この果ての無い世界で
生きる事は
難しい事では無くなるのかも知れない。

救われない世界で
笑えるかも知れない。

誰かを
笑顔に出来るかも知れない。

そこから始まる事が
有るかも知れない…

(終わり)