さすが、スクープ記者というわけか。
三条の予想は杞憂とはならなかった。
次の日、
おとなしく尚輝の家で過ごしていた俺に
慌てて尚輝から電話がかかってくる。
「創さんっ。
たいへんっ。」
「なんだよ。」
いつもは、
冷静沈着で太々しい(ふてぶてしい)ばかりの尚輝のあわてている声に、
一瞬どきりとしながらも電話にでる。
「敵さん。
動き始めたよ。
本郷が多分、
瀬崎里佳子に話したんだろう。
瀬崎教授のところに、
里佳子が来てる。」
「まじか。」
意外にもあいつ、
里佳子のことを心配したわけか。
今の状態なら、
復讐に燃えた俺が次に狙うのは里佳子なはずだからな。
俺は、
瀬崎教授と白谷の悪巧みは知らないことになっているし、
下っ端の本郷も、きっと詳しいことは知らないはずだ。
「わかった。
俺はどうしたらいい。」
としたら、
あいつらは次に俺の命を狙ってくるはずだ。
「ごめん。
俺、今仕事で動けない。
あいつらの動きを探るには、
三条さんと、松田さんに連絡とって。
とにかく、
創さんは命が狙われてるから、
そこを動くな。
わかったね。」
「おう。」
俺と尚輝が繋がっていることは、
たしかにまだ誰も知らない。
尚輝が、
一番最初に俺をここに匿ってくれたことの深慮に感謝しながら、
俺は三条に連絡を取った。
⭐︎つづく⭐︎