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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


「申し訳ないです。
これでも、昔よりはマシにはなってはきているのですが。」


ニノの言葉を受けて、

俺たち二人の前で、
ゆっくりと腰をかけ、
両肘を机について、
その手の上に顎を乗せて櫻井さんが話し出す。




「僕はアレキシサイミア。
失感情症です。

感情がわかりません。」












アレキシサイミア。


失感情症。




櫻井さんの口から出てきたのは、
全く聞きなれない病名で。


どういうことか腑に落ちずに
訝る俺たちの前で、
櫻井さんが、
何にも読み取ることはできない不思議な表情を浮かべて説明を始める。





「説明させていただきます。


アレキシサイミアというのは、

どちらかと言うと、
病名とかいうよりは、特性となります。

自分の感情を他者に言語で表現することが難しかったり、自分の中で起きている情動が認知できてなかったり。

また、身体の感覚と、
脳内の感情の動きが結びつかず、
それを補う想像力が貧困であったりとか、
それにあいまって、
他者への共感や、感情の共有を行うことが難しかったり、

認知のスタイルとしては、
外的な刺激と自分の中の内的な感情の動きがまったく結び付かず、逆に外的な事実へ関心が向いてしまったり、

そのような脳の動きの特性を持っています。」

(厚生労働省『アレキシサイミア』の説明から引用。文章表現は変化させています。)




え?


いきなり放たれた論理的な言葉の羅列に、
俺は全くついていけてなくて、
潤の方を見れば、


潤は
だいたいの櫻井さんの説明はわかったのだろう。


それでもなお噛みつくように、
櫻井さんに話す。



「櫻井先生。
俺はさ。こう見えてもカメラマンだ。

だから、
他者の表情や動作。
一ミリの外観の変化や、動きで、
その内面を切り取って表出させることに対しては、
プロだ。


だから、
そんなプロの俺から見て、
あんたは十分、
俺や、まぁから受ける外的な刺激から、
感情を露出している。



感情を失っているようには、
全く見えないんだけど。」






「えっとぉ。」




潤に詰め寄られて、
たじたじとするどころか、
嬉しそうににこにこしている櫻井さんを見かねたのか、


ニノがにっこり笑って、
話に入る。



「この人は、
軽症だから、
普通のように見えるけど、

だから困るんだよ。


松本さん。

申し訳ないけど、
まぁくんが全くわかってないみたいだから、

俺から易しい言葉で説明させて?


櫻井先生の説明じゃ、
みんなが混乱するだけだ。


さ。
みんな珈琲でも飲もうぜ。


この先生、珈琲だけは、
美味しく淹れられるから。」




張り詰めた空気が
一瞬で柔らかくなった。






⭐︎つづく⭐︎