ようこそ 嵐庵へ! 27 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


 「あのね。」

雅紀がゆっくりと話し出す。


「この辺もさ。
観光地としてうまくいかなくなって、
旅館の廃業がたて続いて、
タッキーのお父さんが買い取って、
タッキーが副社長としてこうやってシェアハウスより、リゾートホテルにしたりしたんだよね。

で、ほんとは、
僕、その前にここの小旅館で、
若主人で働いてたの。
『小宿 雅』っていう隠れ家みたいな旅館で、
お客も二組だけっていう。」



う。
ぴったし。

雅紀が渋い和服着て、客をもてなす姿。
考えただけでも鼻血出そうだ。


「当然、上に嵐庵倶楽部みたいな
マンションはなくて、
この山里にひっそりと、
全ての侘び寂びを愉しむみたいな宿でね。
いい宿だったんだけど。」


そうだろ。
そんな素敵な宿。

リピーター続出だ。

どんな高額出したって通いにくるよ。


雅紀がぼそっと話す。


「俺にストーカーがついちゃって。
俺、襲われそうになったのね。」



「えっ!」


思わず雅紀の手を取って、
雅紀を見つめる。



「だからね。
タッキーはここをシェアハウスにして、
いつも誰かが固定でいるようにしてくれたの。

おまけに、
上にはお姉様たちの嵐庵倶楽部を立ててくれて、
お姉様たちがいつも見てくれてるから、
ストーカーのやつらが、
ここに来ることはできない。


ここはさ。
みんなが俺を守ってくれるんだよ。

だから、
俺も頑張ってみんなに気持ちいい暮らしをしてもらわないと。」


ようやく顔を上げた雅紀。

俺は雅紀の手を握りながら、

「これからは、俺が雅紀を守るっ…」


言いかけた時だった。



がらがらがら。


待合の目の前の玄関が開いた。




⭐︎つづく⭐︎