いつも背が高くて、
心なしか顎を持ち上げるような感じで、
モデルの様にカッコよく歩いてるまぁくんが、
どんどんちっちゃくなってく。
ほんと、
行きにくいんだな。
縮こまって行く背中を軽く支えて、
その喫茶店のドアを押した。
「いらっしゃ… えっ!
まぁちゃんっ!」
ふにゃんとした笑顔で迎えたマスターの形相が、
あっという間に変わった。
「お前、どこ行ってたんだよ!
消息不明になりやがって!」
珍しく大人しく萎れるまぁくん。
「ごめん。
合わす顔がなかった。
何度も連絡取らなきゃとは、
思ったけど…。」
「まぁ、座れ。
一緒について来てくれた人もいるんだろ。」
カウンターに手招きされて、
俺も何となく一緒に座る。
「で、失礼ですけど、
どなたですか?」
マスターの黒い瞳がこちらをマジに見つめる。
顔に柔らかい表情は残しているけど、
目は笑ってない。
ほんと、まぁくんのこと、
心配してくれてたんだな。
「俺、そこの出版社の二宮和也って言います。」
「で、何?
まぁちゃんのなんなの?」
なんか、きつく問い詰められそうな感じになって慌ててまぁくんが答えてくれた。
「あ、ニノは俺が行き倒れてるとき、
拾ってくれて。
今、ニノんちに居候してる。」
「行き倒れた?
居候?
まぁちゃん、何やってるんだっ!」
「ご、ごめんなさいっ。
何から話せばいいかっ。」
慌てて立ち上がって、マスターと向き合う。
「あ、お取り込み中すみませんっ。
おれ、会社に戻って、
ちょっと仕事して来ます。
後でこいつ引き取りにきますから、
ゆっくり話しててくださいっ。」
逃げる様に店を出た。
つづく☆