不動産の内装の写真測量 in GTA SA (1) はじめに | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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【このテーマの記事は、日々の興味本位のお試しを記録するものです。おふさげも入っています。】

 

新居を求めて物件を見学するとき、本当は細部のサイズまでメジャーで測るべきなのに遠慮してしまい、後で困ることはないだろうか。

 

家に帰ってから、あそこにこの収納は置けるかなーとか気になる。しかし、もらった間取り図は2次元で細かい寸法も書かれていない

 

 

写真測量の心得があれば、物件の見学時にスマホを振り回して動画撮影、後で連続画像に変換して処理するだけで新居候補のリアルな3Dモデルが完成、寸法も測りたい放題、と出来るはずだ。

 

いや、近い将来、不動産屋さんが外観だけでなく、写真測量で内装の3Dモデルも作って、不動産データベースに掲載することで、わざわざ見学しなくても、PCやスマホで色々な新居候補の内外を歩きまわれる時代が来るかもしれない。そんな3Dモデルに、設定した季節・時刻の日照を反映することは、いまの技術ならたやすい。見学日が晴れか雨かで印象が変わることもなくなってしまうだろうか。

 

今回そんな興味から、内装の写真測量が簡単に出来そうかを、Agisoft PhotoScan Professional 1.3.1(64bit Windows版)で試してみた。既に十分研究された用途かもしれない(建物の内部を再現するためにカスタマイズされた手法もだいぶ前に発表されている)が、不動産分野で普及はしていないようなので・・・。といっても、いまの自宅(賃貸)でやると色々と問題が生じるから、むかし留学をしていたSan Andreas州でお世話になった物件を使うことにした。

 

この州は、事故や銃撃戦を見ない日はないほど治安が悪いにも関わらず、世界で2700万人以上が留学した大人気エリアで、何と言っても魅力はその自由度だと言われている。いつも社会に適応するためにかぶっている仮面を外し、無意識の原始的な欲求に正直になれる。さらに、パソコンから留学を申し込むとドラえもんクラスの道具が自由に開発できる環境が提供され、やりたい放題になる。

 

私も留学中に、先輩方が開発した重力制御装置や「車を飛べるようにする装置」を借りて身を守りつつ、独自にもタケコプターより速い「3倍速ジェットパック」:

 

 

や「自分以外の時間を50倍遅くする装置」を開発して財を成し、学生の身分にも関わらず州内に10箇所以上の物件を買って、毎日好きな街で泊まっていたわけだ。今回はその中でも、ラスベガスに似たLas Venturasという街で所有していたカジノ付きホテルThe Clown's Pocket

 

 

のツインルームを対象にした。テレビやベッドはあるものの、片付いていて売出中物件っぽいということと、窓側の採光が良く、寝室は明瞭な写真が撮れそうだというのが理由だ。

 

 

ただし、床のタイルは全て同じ模様、壁紙の模様にも繰り返しが目立つ上、傷ひとつない。あまり寄って撮ると、誤ったマッチングが支配的になり、カメラパラメータの推定がうまくいかないだろう。色々な物が写り込むように離れて撮影したいところだが、San Andreas州で唯一使えるカメラときたら解像度が1280×768しかないし、ノイズが強い。現実より厳しい条件だと思う。

 

 

さらに、玄関側の廊下は暗く、S/N比が悪そうだ。加えて幅が狭いため、壁に背を当てて対面(繰り返し模様)を撮ったところで、位置・向きの同定が難しい写真になりやすい。現実世界なら、照明とより広角のレンズで対処できるだろうが、今回はどうしようもないので、この廊下は対象外とする(実際は挑戦したが、うまくいかなかった)。そこで、寝室のみの写真測量に挑戦する。

 

なお、このホテルを建てたのは、いやこの街・州自体をつくったのもRockstar North社だが、同社は特に写真の掲載を禁じていない。既成事実として、無数の写真がネットに載っている。