【蔵王権現和讃】

迦首頂礼金峯山(けいしゆちょうらいきんぷせん)
金剛蔵王大権現(こんごうざおうだいごんげん)
利生(りしょう)の思(おも)ひ深(ふか)くして
霊地(れいち)を占(しめ)てぞ住(す)み給(たま)ふ
今(いま)此(この)金峯(きんぷ)の霊嶽(れいがく)は
北(きた)を望(のぞ)めば金剛界(こんごうかい)
諸尊(しょそん)の階位(かいゐ)連(つら)なりぬ
南(みなみ)を見(み)れば胎蔵界(たいぞうかい)
三密(さんみつ)道場(どうじょう)新(あらた)たなり
是(これ)に依(よ)りてぞ此(この)山(やま)を
一乗(いちじょう)菩提(ぼだい)の峯(みね)となす
法起菩薩(ほうきぼさつ)は此(この)峯(みね)に
形(かたち)を行者(ぎようじゃ)に化現(けげん)して
白鳳(はくほう)年(とし)は十二年(じゅうにねん)
春陽(はるの)上旬(はじめ)に攀登(よぢのぼ)り
藤皮(とうひ)を結(むす)んで衣(ころも)とし
松葉(まつば)を喰(しょく)して日(ひ)を送(おく)り
一十二年(いちじゅうにねん)籠(こも)り居(ゐ)て
苦行(くぎょう)せしこそ尊(とうと)けれ
月(つき)の前(まえ)には終夜(よもすが)ら
秘密(ひみつ)の神呪(じんしゅ)を念誦(ねんじゅ)なし
霧(きり)の中(なか)には終日(ひねもす)に
般若(はんにゃ)の妙文(みょうもん)誦(とな)へつゝ
涌出(ゆしゅつ)が嶽(だけ)に踏登(ふみのぼ)り
濁世(じょくせ)の能化(のうげ)を願(ねが)ひしに
釈迦(しゃか)と千手(せんじゅ)と弥勒尊(みろくそん)
影向(えいごう)出現(しゅつげん)したまへど
末世(まつせ)の業悪(ごうあく)輩(ともが)らを
救(すく)ふに余(あま)り優(やさ)しとて
更(さら)に祈(いの)りを凝(こら)せしに
不思議(ふしぎ)や天地(てんち)鳴動(めいどう)し
大磐石(だいばんじゃく)は破裂(はれつ)して
降魔(ごうま)忿怒(ふんぬ)の大威力(だいゐりき)
金剛蔵王(こんごうざおう)示現(じげん)せり
大悲(だいひ)の本地(ほんぢ)尋(たづ)ねれば
過去教主釈迦如来(かこのきょうしゅのしゃかにょらい)
現世(げんぜ)救主(くしゅ)の観世音(かんぜおん)
未来(みらい)世界(せかい)の弥勒尊(みろくそん)
是(これ)こそ蔵王権現(ざおうごんげん)の
身口意(しんくゐ)三ツの秘密(ひみつ)なり
濁世(じょくせ)剛強(ごうきょう)の衆生(しゅじょう)をば
済度(さいど)なさんと三仏(ぶつ)が
不思議(ふしぎ)の冥会(みょうえ)を成給(なしたま)ひ
金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)と
示現(じげん)し給(たま)うぞ有難(ありがた)き
外(そと)には忿怒(ふんぬ)を表(あらわ)せど
内(うち)には慈悲(じひ)の御心(みこころ)ぞ
御身(おんみ)は青黒色(しょうこくいろ)にして
三鈷(さんこ)の宝冠(ほうかん)戴(いたゞ)きて
本地(ほんぢ)の三尊(さんそん)顕現(けんげん)し
左手(ゆんで)は劔(つるぎ)の印(いん)と作(な)し
腰(こし)の上(ほと)りに安(やす)んぜり
地行(ちぎょう)の悪魔(あくま)を降伏(ごうぶく)し
国土(こくど)鎮護(ちんご)の表示(ひょうじ)なり
右手(めて)には三鈷(さんこ)の杵(しょう)を執(と)り
打撃(だげき)の姿勢(しせい)を作(な)し給(たま)ふ
是(これ)ぞ天魔(てんま)を調伏(ちょうぶく)し
仏法(ぶっぽう)護持(ごじ)の示現(じげん)ぞや
三障(さんしょう)四魔(しま)の暗黒(あんこく)も
慈眼(じげん)を以(もつ)て照破(しょうは)なし
左足(さそく)に磐石(ばんじゃく)踏(ふ)むことは
国土(こくど)の災難(さいなん)鎮静(ちんせい)し
流動(りゅうどう)せしめ給(たま)はらず
右足(うそく)の空(そら)に踏(ふ)まるゝは
天(てん)宿曜(しゅくよう)の障碍(しょうげ)をば
砕滅(ざいめつ)したまふ形(かたち)なり
無辺(むへん)の火光(かこう)放(はな)ちては
総(すべ)ての障難(しょうなん)梵焼(ぼんしょう)し
如何(いか)なる魔怨(まおん)も消伏(しょうぶく)す
昔(むかし)は霊鷲山(りょうじゅせん)に在(あ)り
妙法華経(みょうほけきょう)を説法(せっぽう)し
今(いま)は金峯(きんぷ)の霊嶽(れいがく)に
忿怒(ふんぬ)の形(かたち)を示現(じげん)せり
憑(たのも)しき哉(かな)大権現(だいごんげん)
慈悲(じひ)の方便(ほうべん)廻(めぐ)らして
我等(われら)衆生(しゅじょう)を救(すく)はんと
利生(りしょう)の示現(じげん)嬉(うれ)しけれ
今(いま)此(こ)の蔵王権現(ざおうごんげん)を
信心(しんじん)供養(くよう)する者(もの)は
所作(しょさ)の罪障(ざいしょう)皆滅(かいめつ)し
災禍(さいか)も転(てん)じて福(ふく)となり
二世(せ)の求願(ぐがん)も成就(じょうじゅ)し
福徳円満(ふくとくえんまん)智慧自在(ちゑじざい)
壽命(じゅみょう)も亀鶴(きかく)の如(ごと)くにて
心(こころ)に祈(いの)る願望(がんもう)は
必(かなら)ず大悲(だいひ)の霊験(れいけん)を
證得(しょうとく)せぬ事(こと)なかるべし

(※以下三唱)

蔵王利生(ざおうりしょう)の高大(こうだい)は
言葉(ことば)も筆(ふで)も尽(つく)し得(え)ず
一言(こと)讃(ほむ)るを縁(ゑん)として
六趣(しゅ)の群生(ぐんじょう)利(り)し給(たま)へ 丁
慈悲(じひ)高大(こうだい)蔵王尊(ざおうそん)
和光(わこう)同塵(どうじん)大権現(だいごんげん) 三反



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【五吉原秘密菩薩 口上之儀】

※「常の如し。」はいつも通りの意味なれど、人、時、空、出来事、によりその都度適宜に。
※< >内は祭事、等、特別な、人、時、空、出来事、で行じる。普段の口上之儀では行じない。
※「(某)」には、廻向する対象の、人、時、空、出来事、の名を挿入する。複数の場合は複数名挿入してよい。



●法螺囃子



●先、禮拜

※常の如し。



●次、秡

◆祓神語 三徧
内外清浄(ないげしょうじょう)。六根清浄(ろっこんしょうじょう)。 鿆給清給(はらひたまひきよめたまふ)。



<●次、表白拝詞前口上>

※常の如し。



●次、典

<◆妙法蓮華經如來壽量品第十六>

<◆妙法蓮華經如來神力品第ニ十一>

<◆妙法蓮華經觀世音菩薩普門品第ニ十五>

◆摩訶般若波羅蜜多心經
摩訶般若波羅蜜多心經
觀自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舎利子。色不異空。空不異色。色卽是空。空卽是色。受想行識。亦復如是。舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不淨。不增不減。是故空中無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色声聲香味觸法。無眼界。乃至無意識界。無無明。亦無無明盡。乃至無老死亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。遠離一切顚倒夢想。究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒。是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。眞實不虛。故説般若波羅蜜多咒。卽説咒曰。
羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提 薩婆訶
般若心經
(
まかはんにゃはらみったしんぎょう
かんじざいぼさつ。
ぎょうじんはんにゃはらみったじ。
しょうけんごうんかいくう。
どいっさいくやく。
しゃりし。
しきふいくう。
くうふいしき。
しきそくぜくう。
くうそくぜしき。
じゅそうぎょうしき。
やくぶにょぜ。
しゃりし。
ぜしょほうくうそう。
ふしょうふめつ。
ふくふじょう。
ふぞうふげん。
ぜこくうちゅうむしき。
むじゅそうぎょうしき。
むげんにびぜっしんに。
むしきしょうこうみそくほう。
むげんかい。
ないしむいしきかい。
むむみょう。
やくむむみょうじん。
ないしむろうしやくむろうしじん。
むくしゅうめつどう。
むちやくむとく。
いむしょとくこ。
ぼだいさった。
えはんにゃはらみったこ。
しんむけいげ。
むけいげこ。
むうくふ。
おんりいっさいてんどうむそう。
くきょうねはん。
さんぜしょぶつ。
えはんにゃはらみったこ。
とくあのくたらさんみゃくさんぼだい。
こちはんにゃはらみった。
ぜだいじんしゅ。
ぜだいみょうしゅ。
ぜむじょうしゅ。
ぜむとうどうしゅ。
のうじょいっさいく。
しんじつふこ。
こせつはんにゃはらみったしゅ。
そくせつしゅわつ。
ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼうじ そわか
はんにゃしんぎょう
)



●次、咒

◆根本明王咒 三徧
なも ばぎゃばてい うしゅにしゃ 唵 ろろ そぼろ じんばら ちしゅた しっだ ろしゃに さるば あらた さだにえい そわか

◆日月胎金理智咒 三徧
唵 阿 び ら 吽 けん 阿 あー あん あく あーんく ばん 吽 たらく きりく あく ばさら だと ばん



<◆淫姫星魔羅咒 徧数随意>
※ロイ

◆五秘密菩薩咒(理趣経十七段総咒) 七徧・廿一徧・一魔羅徧(※単位:1マラ=108)
唵 摩訶 そきゃ ばさら さとば じゃく 吽 ばん こく そらた さとばん

<◆本覚咒 徧数随意>
男:不動尊像隠形法(金剛界立修法)
唵 きゃら かんまん
女:愛染尊像隠形法(胎蔵界立修法)
なまく さまんだ らが きゃんあん そわか

<◆鎮護天女拾貮咒 徧数随意>
唵 だきに ぎゃち ぎゃか“ねい”“えい” そわか

<◆だいこく咒 徧数随意>
唵 摩訶 きゃらや そわか

<◆金剛蔵王大権現咒 徧数随意>
唵 ばさら くしゃ あらんじゃ 吽 そわか



◆ぼろん咒 三徧
唵 ぼろん

◆佛眼咒 三徧
唵 ぼだ ろしゃに そわか



●次、光明真言 三徧
唵 あぼきゃ べいろしゃなう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや 吽

<●次、随求陀羅尼>
唵 ばらばら さんばら さんばら いんだりや びしゅだり 吽 吽 ろろ しゃれい そわか



●次、壽歌壽噺

※常の如し。

なにわづに(難波津に)
さくやこのはな(咲くやこの花)
ふゆごもり(冬ごもり)
いまをはるべと(今は春べと)
さくやこのはな(咲くやこの花)

ひとふたみ(壱弐参)
よいつむななや(肆伍陸漆捌)
ここのたり(玖拾)
ひふみゆらゆら(壱弐参由良由良)
ふるへゆらゆら(布瑠部由良由良)

ふかきとが(ふかきとが)
いまよりのちは(いまよりのちは)
よもあらじ(よもあらじ)
つみあさくさに(つみ浅草に)
まいるみなれば(まいる身なれば)

等、適宜に。



●次、名

※常の如し。

大己貴命(おおなむちのみこと)、
浅草観音(あさくさかんのん)、
鎮護大使者(ちんごだいししゃ)、
東方金剛慾菩薩(とうほうこんごうよくぼさつ)、
南方金剛触菩薩(なんぽうこんごうそくぼさつ)、
西方金剛愛菩薩(さいほうこんごうあいぼさつ)、
北方金剛慢菩薩(ほっぽうこんごうまんぼさつ)、
中央金剛王菩薩(ちゅうおうこんごうおうぼさつ)、

等、適宜に。



●次、廻向段

◆佛頂尊勝陀羅尼
なも ばぎゃばてい たれいろきゃ はらちびししゅたや ぼだや ばぎゃばてい たにゃた おん びしゅだや びしゅだや さま さま さまんたばばさ そはらだ ぎゃち ぎゃかな そばはば びしゅでい あびしんじゃと まん そぎゃた ばら ばしゃな あみりたあびせいけい まか まんだら はだい あから あから あゆ さんだらに しゅだや しゅだや ぎゃぎゃな びしゅでい うしゅにしゃ びじゃや びしゅでい さかさら あらしめい さんそじてい さるば たたあぎゃたあばろきゃに しゃたはらみたあ はりふらに さるば たたあぎゃた きりたやあじしゅたなあじしゅちた まか ぼだれい ばさら きゃや そうかたな びしゅでい さるばあばらだ ばや どらぎゃち はりびしゅでい はらちにばりたや あゆく しゅでい さまやあじしゅちてい まに まに まか まに たたたあ ぼた こうち はりしゅでい びそほたあ ぼうじ しゅでい じゃや じゃや びじゃや びじゃや さまら さまら さるば ぼだあじしゅちた しゅでい ばしり ばさら げるべい ばさらん ばばと まま (某) しゃりらん さるば さたばなん しゃ きゃや はりびしゅでい さるば ぎゃち はりしゅでい さるば たたあぎゃたあ ししゃめい さまあしばあさ えんと さるば たたあぎゃた さましばさあ じしゅちてい ぼっじゃ ぼっじゃ びぼっじゃ びぼっじゃ ぼうだや ぼうだや びぼうだや びぼうだや さまんた はりしゅでい さるば たたあぎゃた きりだやあ じしゅたなあじしゅちた まか ぼだれい そわか

◆一切如来心秘密全身舎利寶篋印陀羅尼
なましちりゃ じびきゃなん さるば たたあぎゃたなん おん ぼび はばだ ばり ばしゃり ばしゃたい そろ そろ だら だら さるば たたあぎゃた だと だり はどまん はばち じゃや ばり ぼだり さんまら たたあぎゃた だるま しゃきゃら はらばりたな ばしり ぼうじ まんだりょうぎゃらりょうぎりてい さるば たたあぎゃたあ じしゅちてい ぼうだや ぼうだや ぼうじ ぼうじ ぼっじゃ ぼっじゃ さんぼうだに さんぼうだや しゃら しゃら しゃらんど さるばあばらだに さるば はんば びぎゃてい ころ ころ さるば しゅきゃ びぎゃてい さるば たたあぎゃた きりだや ばさらに さんばら さんばら さるば たたあぎゃた ぐきゃ だあらじ ぼじり ぼてい そぼでい さるば たたあぎゃたあ じしゅちた だと げるべい そわか さまやあじしゅちてい そわか さるば たたあぎゃた きりだや だと ぼだり そわか そはらちしゅちた そとべい たたあぎゃたあ じしゅちてい ころ ころ うん うん そわか おん さるばたたあぎゃた うしゅにしゃ だと ぼだらに さるば たたあぎゃたん さだと びぼしたあ じしゅちてい うん うん そわか

◆千手千眼觀世音菩薩廣大圓滿無礙大悲心陀羅尼
なも あらたんなたらやあや なも ありゃあばろきていしんばらや ぼうじさたばや まかさたばや まかきゃろにきゃや おん さるば らばえい しゅたんなたしゃ なもしきりたば いもう ありゃあばろうきていしばら りょうだば なもならきんじ けいり まか ばたしゃめい さるば あたずしゅぼう あぜいよう さるば さたな まばぎゃ まばどず たにゃた おん あばろけい ろきゃてい きゃらてい いけいり まか ぼうじさたば さるば さるば まら まら まけい まけいり だよう くろ くろ きゃらぼう どろ どろ ばじゃやてい まかばじゃやてい だら だら じりに しんばらや しゃら しゃら まま (某) ばっまら ぼくていれい いけい いけい しっだ しっだ あらさん はらしゃり ばしゃばさん はらしゃや ころ ころ まら ころ ころ けいり さら さら しっり しっり そろ そろ ぼうじや ぼうじや ぼうだや ぼうだや みていりや ならきんじ だりしにな はやまな そわか しっだや そわか まかしっだや そわか しっだゆげいしんばらや そわか ならきんじ そわか まらなら そわか しっらそうかぼきゃや そわか しゃば まか かしったや そわか しゃきゃらかしったや そわか はんだま かしったや そわか なら きんじ ばぎゃらや そわか まばり しょうぎゃらや そわか なも あらたんなたらやあや なも ありゃあばろきていしばらや そわか しっでんと まんだら はだや そわか



●總廻向文詞後口上

(上句)

○○○○(※送出)、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まお)さく。功徳(くどく)を○○○○(※受入)(の(※別に願意や供養と挿入する場合は此処に挿入)の為)に廻向(えこう)し、福聚海無量(ふくじゅかいむりょう)。守給(まもりたまえ)幸給(さきはえたまえ)。と、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まお)す。

(並びに、○○○○、恐み恐みも白さく。功徳を○○○○に廻向し、福聚海無量。守給幸給。と、恐み恐みも白す。)

(下句)



●次、禮拜

※前の如し。



●法螺囃子