なんてことを大事な人に聞かれた。
私はこう答えた。
「好きな人を守る。」
って。
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理佐「…いった…っ」
目を覚まし身体を起き上がらせようとすると体全体に軽い痛みが走る。てかここどこなの。
床が白一色、周りは真っ黒の部屋に私はいる。
「あっ、おはよう。理佐。」
後ろから声をかけられ私は後ろを向いた。
理佐「…ねる…一体どういうこと?一から説明して。」
ねる「うん、話すよ。でもその前に…。」
するとねるは縄で私の腕の自由を奪った。
なに…意味が分からない…。
ねる「私の目的はね、理佐に私を殺して欲しい。だからここに連れてきたの。」
理佐「…は?」
するとねるはワイシャツの袖をまくり、腕を見せてきた。
ねるの肘の間接の辺りには腕時計のような物が巻かれていた。
ねる「理佐が直接私を刺し殺したりわけじゃないよ?ただ、この巻かれてるやつに付いてる赤いスイッチを押して欲しいの。」
理佐「…押したらねるは死ぬの?」
ねる「多分ね…。」
多分…?まずねるは何でこんなに落ち着いているの。
自分が死ぬというのにこんなに落ち着けるわけが無い
理佐「ねるは何でそんなに落ち着いてるの…!自分が死ぬんだよ…!?」
ねる「…私も完全に理解ができてるわけじゃないよ…でも受け止めないといけないの…!」
ねるは私の手にボタンを近付け始めた。
ねる「…お願い…!このボタンを押して!!」
私は力いっぱい縄を動かし、縄を外す。
そしてねるを抱きしめた。
理佐「バカっ!!!押せるわけないじゃん!!」
ねる「嫌だよっ…!!!理佐に死んで欲しくないの!!」
理佐「押さなかったら本当に私は死ぬの?」
するとねるは巻かれているものをタイマーを指を指して、私は見てみるとどんどん時間が減っていくことに気付く。
ねる「あと20分…そのボタンを理佐が押してくれれば私は死ぬ。でも理佐がボタンを押さなかったら理佐が代わりに死んじゃうの…。」
理佐「…そんなの嘘でしょ?誰に言われたのさ、そんなこと。」
ねる「狐のお面を被った男…ゲームマスターって人に昨日言われたの…そして私たちの前に参加した人達の片方が殺されてる動画も見せられた…信じるしかないじゃん…!」
ねるは吐きそうになっていて、私は抱きしめているねるの背中をさすってあげる。
すると段々落ち着いてきて私の顔を見つめてきた。
ねる「…お願い…押して…?」
理佐「嫌だ。私は押さないよ。」
ねる「押してよ!!私は理佐を守りたいの!!理佐が好きだから!」
理佐「私だってねるを守りたいの!!私もねるが好きだからっ!!」
お互いに強く手を握り思いを吐く。
両思い…嬉しいようで嬉しくない…。
どちらかが片思いだったら気持ち悪がって決着が着いたはずなのに…。
理佐「…許して欲しい。」
私はねるにキスをした。
ねるは驚いていて、私はその一瞬で自分が縛られていた縄でねるの腕の自由を奪った。
理佐「終わらせよっか。」
ねる「嫌だ!!やめて!!」
理佐「…来世で必ず見つけ出して告白するから待っててね。」
私はねるの頭を撫でた。
ねる「嫌だよっ…ボタン押してよ…!」
理佐「私も嫌なの。ボタンを押すのが…ねるが昨日質問してきたでしょ?そして私は好きな人って答えた…だからだよ」
ねる「嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
私はねるを抱きしめた。
背中をさすって落ち着かせ、時間が残り30秒だと確認した。
理佐「…ねる、愛してる。」
お互いに顔を見合せ深いキスをした。
早くこの感触を知りたかったな…。
もっとねるを愛したかったな…。
私は強くねるを抱き締めた。
ピッー ピーッ ピッー
タイマーが鳴った。
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ねるside
タイマーが鳴り、強く抱きしめられていた理佐の腕の力は無くなり理佐腕は横に垂れていた。
そして縛られた時に必死にほどこうしていた縄がようやくほどけて私は理佐を抱きしめた。
ねる「うわぁっーー!!!」
私は大声で泣き叫んだ。
泣くのに集中して私の腕の力は抜けていき、理佐は倒れた。
ねる「…なんで…!!!」
理佐の顔は微笑んでいて、私を安心させるような顔だった。
ねる「生き返ってよ、理佐…!!!」
後悔しかない…。
「お疲れ様でした、長濱ねるさん。」
トコトコとこちらに歩いてくる狐のお面を被った男。
ねる「…ゲームマスターっ!!!」
「そんな顔で私を見ないでください笑 決めたのは理佐さんだ。私は悪くない。」
ねる「お前がこんなことを始めなければ理佐は死ななかった!!おまえが悪い!!」
「…確かにその通りだ。だけど、まずは昨日のあなたが私の電話を出なければよかった。出なかったとしても相手にあの質問をしなければよかった話だ。」
ねる「っ!!!」
「でもね?私は素晴らしいものを見せてもらって感謝している。あなた達のような美しい人達は初めてだ」
ねる「それがなに…!!!」
「…今まで参加してきた人達は醜い争いばかりしていた…自分が生きるために必死で好きな人を殺そうとしていた…だけどあなた達は違った。お互いが自分を犠牲にしようとした…なんて素晴らしい!!」
するとゲームマスターは拍手をしだした。
「こんな美しいのに死んでしまう勿体ない。幸せに生きてください。」
ねる「さっきから一体何を…!!っ!!!」
私は意識を失った。
「…っ!…る!ねる!!」
ねる「っ!!」
私は誰かに名前を呼ばれ目を覚ました。
すると理佐が教室で寝ている私をおこしてくれた。
理佐「ほら、帰るよ??」
私は理佐が動いていることが嬉しくて理佐を抱きしめた。
理佐「ね、ねる!?」
ねる「理佐が、理佐が生きてる…!!!」
理佐「え!?私死んだの!?どういうこと!?」
私は理佐に全てを話した。
理佐は私を抱きしめながら、背中を優しくぽんぽんと叩いてあやしてくれた。
理佐「怖い夢だったね…大丈夫だよ。私は生きてる。」
理佐はまず自分の命か好きなな人を選ぶか私に聞かれた記憶からまずないらしい。
ねる「…でも縁起悪いよね…死ぬ夢なんて…」
理佐「でも確か夢で人が死ぬ夢とか見るのってそこまで悪い意味じゃなかった気がする…。」
私はネットで調べてみることにした。
すると沢山の死ぬ夢のことが出てきて、家族が死ぬ夢、親戚が死ぬ夢、好きな人が死ぬ夢、恋人が死ぬ夢などがでてきた。
私は恋人が死ぬ夢と調べていた。
ねる「これから関係が進展するかもしれないだって」
椅子を近づけ私のスマホを一緒に見ている理佐の顔を見ると少し顔が赤かった気がする。
ねる「なんか顔赤くない?」
理佐「えっ!?い、いや!その…調べてるの恋人だったから…///」
ねる「え?だって私たち…」
私は思い出す。
理佐はまず私に自分の命か好きな人の命を選ぶかの聞かれた記憶すらない…ということはお互いの思いまだ伝わっていないということ…。
ねる「っ!///」
私はそれに気付いてしまい照れてしまう。
でもこれはチャンスなのかも…だって夢で遅かったと後悔したんだから…。
私は理佐の顔を真剣に見た。
ねる「私が理佐が好きです。付き合ってください…!」
理佐「…わ、私もねるが好き!!よろしくお願いします…!」
私たちは笑いあった。
ねる「…目、閉じてくれない…?」
すると理佐は目を閉じた。
そしてキスをした。
理佐「ねるっ…///」
ねる「…次は私が理佐のこと守らせてね…?」
理佐「…お互い守っていこうよ…片方が犠牲になるなんて嫌だから」
ねる「…うん、そうだね…!」
そして私たちは手を繋いで学校から帰った。