櫻坂高校には2人の人気者がいた。
1人は、クールだけど優しい小林由依先輩。
学級委員をしており、クールではあるが話すと優しくて、実はファンクラブがあるという噂だ。
もう1人は、渡邉理佐先輩。カッコ可愛いけどチャラくて有名な人だ。この人にもファンクラブがあるらしい
この2人が私の学校で有名な人達。
実は私は人気者の由依先輩に恋をした。
入学式の時、由依先輩に助けられ好きになった。
-----
森田「あれ?櫻坂高校ってどこ?」
入学式に向かう途中、私は道に迷ってしまった。
入学式だから早く家を出たからまだ時間は大丈夫だが、このままだとずっと学校にたどり着けないまま。
誰かに道を聞くなんて考えたけど、人見知りの私には難しすぎた。
「ねぇあなた?大丈夫?」
森田「えっ…」
肩を叩かれ後ろ振り向くととても美人な人に出会った。
小林「私は櫻坂高校2年の小林由依。あなたって櫻坂高校の新入生?」
森田「そ、そうです!今日入学式何ですけど学校に向かう途中で迷っちゃって…」
小林「なるほどねー良かったら学校に一緒に行かない?」
森田「いいんですか!?ご迷惑じゃ…」
小林「全然迷惑じゃないよ!でも入学式にはまだ時間あるけど私、学級委員だから仕事があって…着くの早いけど大丈夫?」
森田「ぜ、全然大丈夫です!」
-----
そして私は学校まで由依先輩と登校。
入学してから数日後、由依先輩の人気を思い知らされた。
-----
松田「ひかるーおはよー」
森田「おはよー」
松田「てかさ聞いた?この学校にめちゃ美人なモデルさんみたいな人が2人がいるって!!」
森田「そうなの?」
私は幼なじみの松田里奈から私が最初に2人のことを説明したように話された。
写真もあるらしく、その写真を見せられた時助けてくれたのは由依先輩だと私は気付いた。
森田「あの時助けてくれた人だ…!」
松田「会ったことあるの!?どっちと!?」
森田「由依先輩!あの時のお礼まだちゃんと言えてなくて…言いにいかないと!」
松田「ストッープ!!」
里奈は教室を出ようとする私の腕を全力で掴んできた。
森田「なんで止めるの?」
松田「あの2人に話しかけないほうがいい!私たちみたいな人が話しかけたら、ファンクラブの人達は嫉妬していじめてくるから!」
森田「なにそれっ…」
「キャー!!!」
教室の外から数名の悲鳴が響き、私たちはみんながたまっている所から少し離れたところで様子を伺う。
森田「何この人の数…1年生全員ここにたまってるんじゃない?」
松田「…それはそうなるよ…」
里奈が窓の外に指を指し始め、私はその指の方向に視線を向ける。そこには、由依先輩と理佐先輩が話している姿だった。
何を話しているかなんて分からないが、小林由依先輩が少し怒ってる気がした。
そんな由依先輩を見て、理佐先輩は由依先輩を抱きしめた。
ここら辺一体は悲鳴に包まれ、ものすごくうるさかった。
「理佐様が由依様を抱きしめた!」
「私も抱きしめて欲しいー!」
「理佐様場所をおかえください!!」
私はそのうるささに耐えられず里奈の腕を引っ張り、何とかその人ごみから抜け出せた。
松田「はぁ、はぁ、やばかったね…」
森田「うん…」
多分だが私は今嫉妬している。
由依先輩を抱きしめてもいい理佐先輩に。
松田「…ひかる。」
森田「なにっ……!……」
私は里奈に抱きしめられる。
松田「…何か悩み事あるんでしょ?話してみな?」
私は里奈に抱きしめられると弱く、隠していたものが全て出てきた。
森田「私、由依先輩のこと好きなの…でも理佐先輩があんなことしてるし、ファンクラブなんて出来てたらアタックもできないじゃん…!どうすることも出来ない…!!」
私は里奈の胸で泣きそうになる。
すると里奈は強く抱き締めてくれた。
松田「辛いね…わかるよ、私も今も恋愛で辛い思いしてるから…」
森田「里奈、好きな人いるの?入学してから数日なのに」
松田「ひかるが驚いて言えることじゃないでしょ!
私は…中学の頃からずっと好きな人がいるの。片思いだけどね笑」
わざと笑顔を作っているが辛そうにしてるのなんてすぐに分かった。幼なじみだからすぐに分かるはずなのに、里奈の好きな人は気付けなかった。
森田「誰なの?里奈の好きな人って…中々の鈍感の人だと思うけど…」
松田「…さぁ?でも結構身近にいる人かな」
森田「えー?隠さないで言ってよー!」
松田「嫌だー!!って私のことはいいの!ひかるはどうするの?由依先輩のこと。」
そういえばそうだった。この叶わぬ恋をどうすればいいかなんて私には分からないけど、考えないといけないこと。
森田「…今日話しかけてみるよ。その時にお礼と理佐先輩との関係を聞いてくる。」
松田「マジで!?ファンクラブの人に見られたらどうするの!?」
森田「なるべくバレないようにはする。でも、私が動かないとどうにも出来ないことだから!!」
松田「ひかる…」
するとさっきまで窓の外に向いていたみんなの視線が私たちのほうに向く。私たちはみんなの視線の先を見ると、お目当ての由依先輩と理佐先輩がいた。
小林「いたいたーあの子だよ!」
理佐「どっちの子?背小さい方?」
小林「うん。」
すると由依先輩は私の前に来て止まった。
小林「えーと、私のこと覚えてる?森田さん?」
森田「…あっはい!迷ってたところを助けてくれた由依先輩ですよね!!」
小林「そうそう、覚えてくれててよかったー。」
森田「あの時は大変お世話になりました!」
小林「お礼なんて全然いいよー」
周りの視線が痛いが、多分滅多に話せないチャンスだから私は気にしないで会話を続ける。
里奈はどうしてるのかなと思いちらっと見ると、理佐先輩に腰を抱かれていた。
理佐「へー松田ちゃんって言うんだ、可愛いね」
松田「あ、ありがとうございます…」
すると理佐先輩は里奈を後ろから抱きしめた。
理佐「今度良かったら遊ばない…?」
私はその姿を見た時、里奈から理佐先輩を引き剥がそうと手が出そうになる。すると、私が手を出す前に由依先輩が理佐先輩の足を強く踏んだ。
小林「理佐。なにやってんの。」
理佐「ごめんって…ついつい可愛くて…」
小林「さっき怒ったばっかだよね?そういうのやめなって…?」
理佐「ご、ごめんごめん。私が悪かったから…」
私は里奈に大丈夫?と小声で聞くと大丈夫と少し弱々しく返ってきた。私は里奈の手を握る。
そして、言い争っている2人に質問をした。
森田「あの…お2人は付き合っているんですか?」
小林「なんで?」
森田「あっいや、仲良さそうに見えたので…」
すると由依先輩と理佐先輩を顔を見合せた。
そして頷いて、一斉に言った。
小林「付き合ってないよ」
理佐「付き合ってるよー」
小林「え?」
理佐「え?」
お互いの意見が合わず驚いてる2人。
いやいや、驚くのはこちらの方なんですけど?とツッコミ、落ち着いて会話を続ける。
森田「どちらがご正解で…?」
小林「うーんと、そのー…」
理佐「もうバラしても良くない?」
小林「うーん…」
小林「…理佐が正解。付き合ってるよ。」
その瞬間辺りは悲鳴に包まれた。
私は心に何か刺されたように痛かった。
理佐「そういうことなんで、お邪魔しましたー!」
理佐先輩は何かを察したのか、急いで由依先輩を連れて逃げてしまった。
するとファンクラブの人や、2人のファンが2人のことを追いかけた。そしてあたりは私たちは2人だけになった。まるで放課後のように誰もいなくなった。
松田「…ひかる…」
森田「…これでいいんだよ…諦めがついた…」
そして里奈は私をまた抱きしめてくれた。
松田「私のね…好きな人の話してもいい?」
森田「…なんで…?」
松田「…多分今のひかるに関係あること話すと思うから。」
森田「…わかった。でも、その前に場所変えよう。」
私たちは空き教室に入る。そして、その部屋の鍵を閉めた。実は今は授業中、先生方はいない生徒を全力で探しているからバレたら大変だからね。
森田「里奈の好きな人の話って…」
松田「…うん。私ね、実は中学より前にその人のこと好きなんだ。小さい頃に助けられて一目惚れしたの。でも叶わぬ恋…ずっと片思いしてる…。」
里奈の話を聞くと出会いは私と似ているが、期間が違いすぎた。なのに私はすぐに傷ついて…里奈の方が辛いに決まってるのに…。
森田「…ごめんね。里奈の方が辛いのに…」
松田「…大丈夫。私がひかりに気付いて欲しいのはそこじゃないの。」
森田「そうなの…?」
里奈は私の肩を掴む。そして私を突き飛ばした。
頭を打つ前に里奈が私の頭を抱え、押し倒してる状況になった。
森田「…どうしたの…里奈…」
里奈は無言で顔を近付けてきた。少しでも動けばキスをしてしまう距離。私は何も抵抗できない…。
でももうひとつ思うことがあって、それは里奈を近くで見るとものすごい可愛いと思った。
松田「…私じゃ、ダメ?」
森田「えっ…」
松田「由依先輩じゃないとひかるはダメなの…?」
里奈は泣き出し、私の頬に里奈の涙が零れる。
松田「昔からひかるのこと好きなのに全然気付いてくれないし…さっきだって…好きな人ってひかるのことだよ…ほんと鈍感…」
里奈は馬乗り状態になっていたため、私は起き上がり里奈を抱きしめる。
森田「…私ね、さっき里奈の顔が近付いてきた時可愛いなって思ったんだ…この思いって、里奈に気を引かれてるってことだと私は思う…だって他の子にあんなに顔近づけられて何も思わないと思うから…」
松田「…でもひかるは由依先輩のこと…!」
森田「もう何とも思ってないよ。今は里奈の事しか見てない。」
私と里奈はお互いを見つめ合う。そしてキスをする。
森田「里奈のことこれからもっと好きになりたい…私と付き合ってくれる…?」
松田「…そんなの断る意味が無いよ…んっ…」
私は欲望のままに里奈にキスをする。
深いキスをすると里奈から甘い声が出てくる。
松田「これ以上は、ダメっ…///」
森田「続き、したくないの…?」
松田「ここ学校だし、私がもたないもん…///」
照れながら言ってくる里奈が可愛すぎで強く抱きしめる。良かった、こんな顔誰にも見せることがなくて…私だけに見せてくれて安心した。
安心したって…私完全に里奈に恋してるじゃん…。
森田「なら家帰ったら続きしよ、ね?///」
松田「うん…///」
お互い生々しい会話に照れながら約束した。
ことあと私たちはこの学校一のバカップルと名が付けられた。