人前では辛さを隠して、でも本当は誰かに気付いて欲しくて…“助けて”と心の中で助けを求める。
昔から素直になれなくて、人に甘えることが苦手でいつも抱え込んで体調に影響が出る。

今もそうだ…熱を出して寝込んでいる。

「…私ってホントダメだ…」

静かな自分の部屋でそう呟いて、私は目を閉じた。

-------

理佐side

由依が熱を出して今日の仕事は休みだとスタッフさんに告げられた。
由依が体調を崩すことは良くあることだけど、今日は謎に嫌な感じがするし、由依の事が気になって仕方がなかった。

茜「ぽんのこと心配?」

「あかねん…うん、今日はなんかすごい心配してる。」

茜「仕事終わったらすぐに行ってあげな。ぽんのこと理佐に任せるから、看病よろしくね」

「ありがとう」

あかねんは本当に鋭いなって思う。いや、私が顔に出やすい…?まぁどうでもいい。それより早く仕事が終わらないかなとソワソワとしている。


そして仕事が終わり、私は急いで楽屋を出た。
由依の家まで急いで、途中何か食べやすい物でも買っていった。そしてインターホンを押す。

「…反応は無しか」

私は一応ドアを押してみると、何と開いてしまった。
用心ちゃんとしなよ…と思いながら私は中に入る。
中に入ると、寝ている由依が居た。

「由依…何で泣いてるの…」

由依の顔には泣いた跡、そして頬に一滴の涙が垂れていた。私は由依のベットの近くに椅子を出して座り、涙を拭ってあげて、由依の髪を触る。

「もっと頼ってくれてもいいのにな…」

私は由依の手を握る。そして可愛い寝顔をしている由依を眺めながら眠りについた。

------

小林side

私は目を覚まして、手に何か違和感があるのに気付き、なんでだろうと思っていたら椅子に座っている理佐がそこにはいた。
私のテーブルの上には飲み物や食べ物が入っている袋があり、心配して来てくれたんだなと嬉しくなった。

「理佐…今だけ許してください…」

私は起き上がりベットに座り、理佐と手を繋ぎながら、理佐の胸におでこを当てる。
とてもいい匂いがして、やっぱり落ち着く。

すると理佐は私を片手で抱き締めた。その瞬間、初期から好きな匂いに包まれた。


「理佐…起きてたの…?」

理「…由依に抱き着かれて目覚ました…いい匂いするなーって…」

「ごめんいきなり…離していいよ?」

私は理佐から離れようとするが、逆に理佐は強く抱き締めた。

理「甘えていいんだよ、由依。」

理佐は私の手から自分の手を離し、ベットの上に座り、私を両手で抱き締めてくれた。
私は気付いて貰えた嬉しさと安心感で涙と言葉が勝手に溢れる。

「辛かった…素直になれなくて抱え込んでた…誰かに甘えたかった…!」

理「うん…」

理佐は片手で私の頭を撫でてくれる。

「これからも理佐になら甘えてもいいですか…」

理「甘えていいよ…でも、私も甘えてもいいですか?」

「…うん、いいよ…」

-----

理佐side

私は由依に頼られて嬉しくなったのか、今まで隠してた気持ちが行動に現れた。

私は由依の頬にキスをした。

私が由依に寄せている好意は付き合いたいなどの感情。今まで隠していたがもう耐えられなかった。
こんな可愛い姿を私の前で見せてくれたら耐えられるわけが無い。でも私はいきなり頬にキスをされて頭が真っ白になっている由依に気付き我に返った。

「ごめん、由依!私帰るね!!」

これ以上一緒に居たら私の気持ちはバレてしまう。
バレてしまったら由依は引いてしまうだろう。私は逃げようとしたが、由依に腕を掴まれる。

小「…今のキスの意味はなに?教えて?」

私は上目遣いで聞いてくる由依にドキッとしながら、素直に答えた。

「…好きだからしちゃった…私は由依の事が付き合いたいとかの意味で好きだから。」

私は顔を赤くなっているのが自分でも分かるほど身体が暑かった。

小「…好きなら唇の方にしてよ…

由依が小声でそう呟いた。私は鞄をその場に投げ捨て、由依に顎クイをする。

「…唇にしてとか耐えられなくなるよ?」

小「別に、理佐ならいい…」

「えっちな子だね…」

私は顔を顔を赤くする由依に口付けする。
短いようで長いキス。ヤバい。
私は本当にこれ以上は耐えられなくなりそうだから鞄を持つ。

「そこにある物食べていいからね、お大事に!」

小「…続きは…?」

「まだ熱あるんだからダメ!」

小「なら熱が下がったらしてくれる?」

「…優しくは出来ないから。」

私は由依の家から出た。そしてその場に座り込む。
あんなセクシーなのやばいでしょ。風邪ひいてるからか色っぽいし言動がおかしくなってる。

「次会う時どんな顔してあったらいいのよ…」

私は頭を抱えながらその場から去った。
帰っている途中、スマホにメッセージが届く。

「…こちらこそだよ。」

私は嬉しくて笑みが零れた。
-----

小林side

私は理佐が帰った後、布団にくるまり暴れた。
なんてことを言っているんだと恥ずかしくなった。
続きはじゃないよ!!何言ってんの!!

「…でも両思いだったのは嬉しかったな…」

私も前から理佐のことが好きだった。それが今日ようやく芽生えたと考えたら嬉しかった。
でもちゃんとした返事は思えばしてないと思い、私はスマホに手をかける。

私もずっと前から理佐のこと好きだったよ。
両思いで、付き合えた?の嬉しい。

私はそれを送信した。すると数秒後、理佐から返事が来た。

私も嬉しいよ。由依と付き合えたこと。
でも由依。私以外の人にあんな由依見せちゃダメだからね。

と返信が来て、すごい恥ずかしくなった。

理佐にしかしないよ

と送り、理佐はスタンプを送ってきて会話は終わる。

「どうしよ…寝れないかも…」

嬉しすぎて目が冴えてしまった。
私は過去に撮った理佐との写真を見返し、早く熱を下げようと決意した。