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rgrglr優れた紙になると、それ自身で既に美しさに溢れる。どこか犯し難い気品が見える。愚かに用ゐてはすまない。たとへ使ひ古した半紙や巻紙の一切
ひときれ
でも、何か棄てるに忍びないではないか。紙縒
こより
にでもすれば又甦つて来るからである。昔の人はそれで布を織つた。細かい乱れ絣が入つた着物などを見ると、手習の跡かと思はれ、一入情愛をそゝる。
 支那に「鶏肋」と云ふ言葉がある。後漢書の楊修伝に出たと云ふ。意味は鶏の肋骨は棄てゝもいいやうなものゝ、さて棄てるには惜しいと云ふのである。だが私だつたら「片楮」とでも云ひ直したいところである。一片の楮紙でも無駄にするには忍びない。何かそこに紙恩と呼んでいゝものを感じないわけにゆかぬ。
 なぜ和紙がそんなにも貴いのか。数々の理由を挙げ得るであらうが、何としても紙として無類の美しさがあるからである。さうしてその美しさが、材質の正しさから来てゐるからである。誠に柔剛の二面を兼ね備へた紙として、是ほどのものは天下にない。それが純和紙である限り、美しくないものは一枚だにない。上
かみ
鳥の子、檀紙から、仙貨、杉原、下
しも
天具帖の薄きに至るまで、何れも和紙の栄誉を語らないものとてはない。
 古語に「にぎて」と云ふ言葉がある。神に献る幣帛の義である。「にぎ」は「和
にぎ
」であり、「て」は「栲
たへ
」即ち梶で、「和
なごや
かな梶布
かじぬの
」のことである。