静岡にある富春院です。

華屋山富春院という臨済宗の寺。

天文年間、富春院殿一輪常心大居士と、花屋院殿陽岳妙春大姉が創建。この2人の由緒は不明であるものの、今川家に関係する人物である可能性が高いそうです。永禄11年(1578年)、武田信玄による駿河侵攻で全焼。延宝年間に再興しました。

かつてこの寺の北隣には、陽光山天澤寺がありました。永禄3年、今川義元は桶狭間で織田信長によって討ち取られます。家臣の岡部元信は信長に対して鳴海城の開城と引き換えに主君義元の首の返還を求め、義元の首は元信によって駿府にもたらされます。今川氏真が天澤寺を創建して父義元の首を葬りました。

江戸時代中期、天澤寺は衰退。文化8年(1811年)、天澤寺にあった今川義元木像は臨済寺に移され、明治24年、義元の墓も臨済寺に移されて廃寺となります。旧地にも祠や位牌が残され、現在、富春院が管理しています。

本堂。

本尊・阿弥陀如来像を安置します。

今川義元公墳墓之旧蹟。

かつて富春院の北隣には今川義元の墓所天澤寺がありましたが廃寺となり、木像や墓は臨済寺に移されました。旧地にも祠や位牌が残され、富春院が管理しています。

今川義元(1519～1560)は駿河・遠江の戦国大名。駿河今川氏9代当主。駿河、遠江守護。駿河今川氏7代当主・今川氏親の五男。幼名、芳菊丸。出家予定で善徳院の琴渓承舜に預けられます。琴渓承舜入滅後、その弟子で京の建仁寺にいた九永承菊(後の太原雪斎)が養育係として付けられ、上洛して建仁寺で得度。栴岳承芳と号します。父の死後、家督を継いだ長兄氏輝の命で、駿河に戻ります。天文5年(1536年)、氏輝と彦五郎の兄2人が死去。父氏親の正室であった寿桂尼の命により還俗して今川義元と名乗り後継者となります。これに異を唱えた兄・玄広恵探が反乱を起こすも、雪斎が鎮圧、玄広恵探は自害(花倉の乱)。家督継承。天文6年、甲駿同盟締結により、甲斐の戦国大名・武田信虎の長女定恵院(武田信玄の姉)を正室とします。天文19年、定恵院没。天文21年、義元の娘嶺松院が武田義信に嫁ぎます。天文23年、武田、後北条との間に甲駿相三国同盟締結。義元の嫡男氏真に北条氏康の娘早川殿が嫁ぎました。永禄元年、氏真に家督を譲り隠居。永禄3年、尾張侵攻。桶狭間で休息中に織田信長の急襲を受け、討死(桶狭間の戦い)。享年、42歳。

富春院；静岡市葵区大岩本町26-23

富春院～今川義元公墳墓之旧蹟