初夏と言うには空気がいやに暑い。
息を吸っても吐いても暑くていっそ止めたくなる。
暑いのは苦手だ。
自らの輪郭が溶けそうになるからと、そう弟に溢せば「兄者の思考回路は最初から溶けきっているから大丈夫でありんす」とか宣いやがった。
下らない口喧嘩。
いくぶんか、薄まる不安感。それでも、根本にあるそれは消えない。
暑いのは苦手だ。
自分の輪郭が溶けそうになるから。
自分が消えたとして、いったい何が変わるのか。否、何も変わらないだろう。なにせ自分にはスタートラインがないのだから。
今は日常に薄まるそれはいつか、自分を喰らい尽くすのかもしれない。或いは既に。それが酷く怖
「あひゃさん」
暗い思考に彩られた脳内が、彼女の姿をした日常にかき消される。
アイスがあると嬉しそうに笑う彼女を肩車して自分は日常に溶け込むために食堂に出向いた。