こんばんわ、はるです。

今日、兄の火葬に立ち合いました。

静かで冷たいささやかな雨の中、火葬場は満開の桜が咲いていたのですが、鼠色の空はその美しさを悲しげに映いていた様に感じました。

父も母も、兄が倒れてから今日まで充分に覚悟は出来ていたはずです。ですが、静かに涙を浮かべる姿が私の目にはとても強く印象に残りました。

子が親より先に逝くこと、当然そのような事は起こっても不思議ではありません。ですが、ふと私も考えてしまったのです。
私の息子たちが先に逝ってしまったらと。
兄を見つめる両親の姿がふと私に思えた瞬間、とても言葉では言えない感情が湧きました。
目が熱くなり、目に見えている物が瞬く間に原型をとどめなくなり、一瞬にして流れ落ち始めたのです。

私は、性別違和に気がついてから自身の命を軽んじていた節があります。今日この瞬間を過ごしても尚、長くは生きたいと思っていません。
ですが、両親にまた同じ目を味あわせたくないと感じました。同時に、私もその想いを感じたくない子供に先に逝って欲しくないと思いました。

火葬炉から出され、収骨室に運ばれた兄は、もう私達の知っている兄の姿ではありません。
私はやっと、解放されたのかな?と感じました。
大柄だった兄は丈夫だったようで、骨はだいぶ残ってました。骨壷は1番大きい物だったそうです。
数本の骨を箸渡ししておくったあと、係員さんが丁寧に説明してくださりながら骨壷におさまりました。それを見ているうちに心の中で整理されていくものがあったのかも知れません、なぜか割り切れたと言うか、納得した感覚がありました。

たぶん、両親にもその感覚があったのでしょう。
火葬炉に入る前に見た時の両親の表情より、穏やかな感じを受けました。

骨壷は箱におさめられ、白い布で包まれた後、弟が受け取りました。

建物を出ると、寒々しかった空は雲の隙間から陽がさし、桜は美しく咲き誇り、暖かくもありました。なんだか、暖かい気持ちと言うかやっぱり納得したと言うかそんな気持ちになりました。

兄が最後に贈ってくれたプレゼントだったのかも知れません。


とりあえず、私はまだ逝けません。
まだ、やらなきゃいけない事があるので。
それから、出来れば両親より後に逝こうかな。
少なくとも母よりは後に。


はる