結局、がん予防には何をすればいい?
(朝日新聞アピタル 2015年11月9日)
http://apital.asahi.com/article/sakai/2015110600017.html
 

がん予防に効果があるとされているものはたくさんあります。本屋さんに行って健康本の棚を見渡すと、それこそあらゆるがん予防法が書かれています。
中には、「玄米食ががん予防になる」「炭水化物を摂るとがんになりやすい」といった、相矛盾するような主張もあったりします。
こうした本に書かれているがん予防法の中には、十分な証拠がないものもあります。本を売るためには読者にアピールしなければなりませんから、科学的証拠よりもインパクトが重視されるという面もあるのでしょう。
わざわざお金を出して科学的根拠のあやふやな本を買わなくても、公的な組織が公開しているがん予防の情報はインターネットで無料で入手できます。
たとえば、国立がん研究センターは、「日本人のためのがん予防法」として、喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、感染の6項目を挙げています。それほど長くないので引用しましょう。
 
◆喫煙
 たばこは吸わない。
 他人のたばこの煙をできるだけ避ける。
 
◆飲酒
 飲むなら、節度のある飲酒をする。
 
◆食事
 偏らずバランスよくとる。
  ・塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。
  ・野菜や果物不足にならない。
  ・飲食物を熱い状態でとらない。
 
◆身体活動
 日常生活を活動的に。
 
◆体形
 適正な範囲内に。
 
◆感染
 肝炎ウイルス感染検査と適切な措置を。
 機会があればピロリ菌検査を。
 
 
当たり前のことしか書いてありません。インパクトがないので、こういう内容の本はあまり売れないでしょう。
けれども、この6項目をすべて守れている人はそれほど多くはないと思います。ちなみに私は「飲むなら、節度のある飲酒をする」と「日常生活を活動的に」がクリアできていません。
他にも公的な組織によるがん予防法はありますが、この「日本人のためのがん予防法」の良いところは、日本人向けに書かれていることです。
たとえば、前回ご紹介した加工肉の摂取については主な項目としては触れられていません。海外のがん予防法にはたいてい、加工肉や赤肉(牛・豚・羊などの肉)を摂り過ぎないことが挙げられています。
もちろん、日本人も加工肉を食べ過ぎるとがんになりやすいでしょう。しかし、日本人集団の赤肉・加工肉の摂取量は低く、日本人を対象とした研究では弱い関連しか認められなかったのです。「大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい」と判断されたのです。
がんになりたくなければ、根拠に乏しいがん予防法をあれこれ行うよりも、まずは日本人向けの根拠の明確ながん予防法を実践することをお勧めします。
 
■参考
 
日本人のためのがん予防法(国立がん研究センター)

http://epi.ncc.go.jp/can_prev/93/3457.html
 
赤肉・加工肉のがんリスクについて(国立がん研究センター)
http://www.ncc.go.jp/jp/information/20151029.html

 

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加工肉の話は、少し前に話題になったので、気になっていた方も多いと思います。平均的な日本人の摂取量ではあまり気にしなくて良いようですね。たしかに、ホテルの朝食ビュッフェなどで、カリカリベーコンをお皿にてんこ盛りしている外国人を、何度か見たことがあります。日本人だったらあんなには食べないだろうと、ビックリしたものです(^_^;)

 

そして、「がんにならないためには、どうすれば良いか」。

なんかすごく珍しいものや、高価なものを食べればがんにならないとか、そういうんではないですね。

国立がんセンターなど、公的機関がやっている研究は、日本人の何千人~何万人を、何年もかけて追跡調査し、数値を出している場合が多いです。信頼性が高いと思います。

 

「いやいや、この6項目がなかなかできてないから、それを上回る特別な何かをしたいんだよ」という、一発逆転的な発想の人も多いかもしれませんが・・・(だからこそ怪しげな本が売れる)、そんな奇跡の秘策はない、と思ったほうがいいですね(^_^;)

 

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