連載104【矢作に残る戦争の痕跡 巡洋艦「矢矧」】 その4 | 東海愛知新聞『矢作に住んでみました』バックナンバーはコチラ

地元、矢作神社に

 

「巡洋艦矢矧」

 

の模型があることを知り、

 

なぜ、そのようなものがここにあるのか、

 

もしかしたら、宮司様のご趣味なのか、などと

 

思っていたら、

 

私の想像を遥かに超えるドラマが

 

眠っていることがわかった

 

それは、ちょうど現代において

 

コロナが世界を駆け巡っていた時で、

 

自分自身も、2度感染し

 

どちらもそれなりに苦しんだのだが

 

その後でよくよく

 

考えてみると

 

矢矧の艦内で流行ったという

 

スペイン風邪

 

コロナと同じ状況だったのだと

 

気がついた

 

船の中は、一度出港してしまうと

 

逃げ場がない

 

いくら艦内は広いとはいえ

 

恐ろしい状況である

 

艦長を含む

 

全ての乗組員が感染したそうである

 

目に見えぬ敵にも

 

立ち向かわなくてはならなくなった

 

矢矧の乗組員たち

 

志なかばで

 

散っていった乗組員と

 

彼らを看病し

 

見送った乗組員

 

そして、それらを見守る艦長

 

母国を離れ

 

異国の地で眠るとは

 

どんなに心細かったことだろう

 

そして

 

そんな彼らの帰りを

 

今か今かと

 

一日千秋の思いで待つ

 

家族

 

その時代は

 

今より外国は遥かに遠い土地だったのである

 

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