入院中はそれはそれは「人権って何だっけ」的な扱いの日々だった。




ブラを着ける事も駄目だったから男性看護師にいきなりガバっとパジャマを捲って胸丸出しで心電図を取られるのも嫌だったし



裸で看護師の前で体重計に乗るのも屈辱だった。



クソデカボイスで「全部吐いた〜!?」って毎回聞かれるのも



配膳された食事を前に「食べろ!吐くな!」と言われるのも



吐いちゃって「すみません、駄目でした」って言った時「吐いたら意味無いって言ってんだろ!」って言われるのもキツかった。



体重を増やさないと退院出来ない。



医療保護入院でこれ以上体重が落ちたら体を拘束した上で鼻から経管だと言われていたから

それが怖くて



一度でも経管になったらもう私きっと2度と食べる事を選ばない。



吐けないならいっそ食べない。食べられない。 



食べたくないのに体重を増やさなければずっと入院。



勿論優しい看護師さんもいた。心電図取る時や内診の時さりげなく男性看護師に代わってくれた女性看護師の方は、脱水で採血しづらい私に「ポカリ飲んで横になって採ろうか」と声を掛けてくれたり



服を全部脱いで体重計に乗る時にギリギリまで体を見ないようにしてくれたりした。



そんな看護師さんの期待に応えたかった。優しい主治医に見放されたくなかった。



でも体重は増えなかった。主治医は「拒食状態に急に栄養を入れても吸収されないからすぐには体重は増えません。続けて栄養を摂っていればいずれ必ず体重は増えます。焦らないで」と言ってくれたけど  



栄養を摂るのも嫌だ。でも体は全部痛い。仰向けに寝れば背骨が痛くて、横向きはあばら骨が当たる。

座る時はお尻の骨が当たって座れないのでクッション必至。



電解質もカリウムも異常値。滴状心になっていた。



空のペットボトルを持ち上げる事が辛かった。ポカリ一口飲むのもカロリーが怖かった。



結局コロナ禍で外出外泊面会が一切出来なくなり、もうこれ以上は私の精神が保たないだろうと言う事で退院になったけど



退院しても何も変わっていない。変われていない。



メイバランスもエンシュアも部屋の片隅に積んだまま。



今私の体は何で出来ているのかな。



いくら摂食障害の本を読んでも私の治し方は書いていない。



「私はこうして治しました!」「こういう考えはやめましょう!」みたいな文章ばっかり。



同じ病気で戦っている人と繋がると「傷の舐め合い」だと言われる。 



リアルじゃ言えないんだからネットで位許してよ。



これでも戦ってるよ。気を抜けば待っているのは鼻から経管なのだから。



生きる意味とは。生きる価値とは。



勉強で分からない事は嫌いだ。



摂食障害について勉強すればする程知識が付いていくのか、或いはまるで勉強なんて意味が無い事なのか分からなくなる。



難しいな。努力が足りないな。



「ありのままの自分を認めよう」みたいな言葉大嫌いだ。向上心を無くしたら女としても人としても終わりじゃないの?



完璧でありたいと思う事の何が悪いのか分からない。



とりあえず今日はネイル塗り直してパックして気分を上げよう。ちゃんみな聴こうっと。