月の光が夜の闇をつらぬき、風の音が森を走りぬける。
風は時折木や石にぶつかり、一人の男にぶつかった。
その男は頭から足まで真黒なローブに包まれていた。
少しすると男の向かう先に洞窟が現れた。
「ここか・・?」
男は小さくこぼすと周囲を気にする様子もなく、そのまま中へと誘われていった。
洞窟の中は暗くじめじめしていて、招かれざる者を拒むかのごとく複雑に入り組んでいた。
しかしそれを物ともせず男は歩み続けた。やがて少し開けた空間に出た。
中は中央に四角い石造があるだけのなにもない空間で、男は中央までいくとフードをとった。
男の顔からはまだ若さが感じられ、若者と言っても違和感を覚えないほどだった。
男は、黒くて貪欲そうな瞳に、少し高い鼻、口には笑みをかみ殺しているようだった。
男は石造の上に手を置きうつむくと、なにやら口をもごもごさせはじめた。
なにかを唱えたかと思うと、急に石造から眩い光が発せられた。
不思議なことにその光は黒く、澱んだ、気持ちの悪いものだった。
ついに男は笑いを抑えられずに、その声はだんだんと高らかなものとなった。
突然、石造が息絶えたかのように光を失い、跡形もなく音をたてて崩れ去っていった。
やがて男の声も止み、風がまた吹き始めた。
男は何もないはずの空間に向かい、話しだした。
「やぁ、気分はどうだい?ストーミィ」