映画の続編というのはなかなか成功しないが、続編どころかこれまで23作品製作し、50年以上続いているシリーズがある。
言わずと知れた007シリーズだ。
24作目「007/スペクター」は007好きで映画通の友人(中学校の同級生で以下007友)と一緒に鑑賞し、その後大いに語りあった。
本作は前作「007/スカイフォール」の続きであり、6代目ダニエル・クレイグがボンドになってからこれで4作品目。4つ全体が時系列で繋がっていて、新生ボンドの世界観を作り上げている。
殉職した前任者Mの遺言に従い、テロリストを暗殺したボンドは、その男が国際的な犯罪組織の一員であることを突き止め、ローマでの秘密会議に潜入したが、その頂点に君臨する男、オーベルハウザーにすぐさま正体を暴かれ何も掴めないままその場を辛くも脱出する。
一方ロンドンではMI6が消滅の危機に瀕していた。
諜報界で力を持ち始めたMI5の長官CがMI6を吸収し、00セクションを時代遅れの遺物として葬り去ろうとしていたのだ。
ローマでの失敗の後、謎の組織の追跡を再開したボンドは、秘密を握る宿敵Mr.ホワイトの行方を突き止めるが、ホワイトはオーベルハウザーに毒物を盛られ瀕死の重傷だった。
組織の秘密と引き換えに娘のマドレーヌを守ることを約束したボンドは、誘拐されそうになったマドレーヌを助けたことで彼女から組織の名前を聞くことになる。
その名は“スペクター”
ボンドはやがて文字通り遠い過去の亡霊(スペクター)と対峙することになる。
ガンバレルシークエンス→オープニング→主題曲+セクシーなタイトルデザイン→本編という従来の構成にやっと戻ったグレイグ版ボンドだが、今回ストーリーが込み入っているせいか150分の長尺となった。
CGなしの本物のアクションや往年のシリーズへのオマージュも楽しめ、長さは感じなかったが、やはりアクション物はもっとタイトな編集がいい。
タイトルの「スペクター」は、「カジノロワイヤル」同様法廷闘争によりやっと手に入れた権利で、イオンプロの虎の子だったが、まさかタイトルにするとは思わなかった。
CIAのフェリックス・レイター、ワルサーPPK、Q、マネペニーと作品ごとに次々と馴染みのアイテムやキャラクターを蘇らせ、ついに亡霊の復活にまで行き着いた(ちなみに007のスペクターとは本当は犯罪組織の長~い名前の略称)。
これでリブートもコンプリートした感があるが、今回はイアン・フレミング(原作者)もびっくりのとんでもない衝撃の真実がおまけでついてきた。
これは「スターウォーズ」のルークとダースベーダーの関係にも迫る衝撃度だったが、ちょっと伏線でヒントを与えすぎていたため予想はついてしまう。
とはいえボスの名前や服装のデザイン、あの有名なふわふわ高級ペットなど長年のファンも満足させる配慮がしてあった。
グレイグ版ボンドはこれまで触れられることのなかったボンド自身のパーソナルな部分を新たに創り出し「新生007の誕生」を印象付けた。
この大きなテーマの総括が今回のスペクターとの対決であり、かなり強引ではあったが、それなりに成功したように思える。
しかし、前述の007友とも話したが、ユーモアのセンスやお約束事などまだちょっと007らしさが足りない気がする。
挙げるときりがないが、誰も書いてなさそうなことを一つ書くと、ボンドガールであるレア・セドゥの役名がマドレーヌ・スワンなんて007ではありえない(Mr.ホワイトは本名のスワンから付けたのか?)。
マドレーヌとスワンと言えばすぐに想起するのはフランス文学の名作プルーストの「失われた時を求めて」だろう。
冒頭で主人公はマドレーヌを食べて昔スワン家の方へ散歩したことなどを思い出す。
しかし「ハニー・ライダー」のように英語圏のレディーなら顔を赤らめるような名前を思いつくイアン・フレミングがこんな高尚な引用をするはずがないのだ。
また、いくつか気になるところがある。
ネタバレになるが、ボンドはどうやらMI6をやめたようなのだ。
映画のラスト、マドレーヌとともに「ゴールドフィンガー」で使ったボンドカーに乗っていくシーンは「女王陛下の007」のラストを思い出す。
もしそれを踏襲するなら次回作はここから始まるはずだ。
車に乗った2人をスペクターの一味が襲い、ボンドは生き残ってマドレーヌが死ねば「女王陛下の007」のラストにそっくりなシーンが出来上がり。
ブロ○○ルドは逮捕された後すぐに脱走、この計画を指示していたことにすれば、復讐に燃えるボンドはブロ○○ルドを追ってなんと日本へ…
そう、こうすれば
結構原作に近い「007は二度死ぬ」になるのだが。
もし実現すれば浜美枝以来の日本人ボンドガールを誰にするかで大騒ぎになるのは必至だが、その時は頼むからもう忍者は出さないでほしい。
もちろん姫路城は出入り禁止だ(「007は二度死ぬ」で城壁に傷をつけたため、以後姫路城は映画ロケ禁止)。

