フリーパス無差別鑑賞企画(7)「凍りついた心」 | ◆◆ ロイの書斎 ◆◆

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頭に浮かんだことをエッセイ風に書き綴っています

吉永小百合の人気が今もどれほどのものなのかは、「北のカナリアたち」を観に行った時パンフレットが売り切れていたことで実感した。
聞いてみると、ベテランサユリスト達がこぞってパンフレットを買い求めるらしい。

だが永遠の清純派が演じた本作の主人公は、貞淑なだけではない、抗えない恋にも生きた女性だった。

北海道の離島に夫婦でやってきた川島はるは、小学校の分校の教師となった。
受け持つことになった6人の生徒達の歌の才能を見いだした彼女は、生徒達に合唱の楽しさを教え、やがてコンクールに出場するまでに至ったが、大人達の家庭のいざこざが子供達の関係にも影を落とし始める。
そんな時、はるの夫の提案で仲直りのためにバーベキューを海辺で開くのだが、1人の生徒が過って海に転落した。
はるの夫は子供を助けるために海に飛び込み、生徒は無事に救出されるが、はるの夫は帰らぬ人となった。
その後島に広まったある噂のせいで、はるは島を出て行く。

それから20年後、教え子の1人が殺人の容疑者で逃亡中であることを知ったはるは、手がかりを探しに教え子を訪ねる旅に出る。
やがて明らかになる20年前の真実とは?

劇中印象的だった台詞「二十年後の宿題」を日記のタイトルにしようかと考えたが、なんと原作のタイトルだったのでやめた。
映画のタイトルは生徒達が練習していた「歌を忘れたカナリア」と関連付け歌が好きだった頃に体験し忘れ去ろうとする昔の悲しい記憶を想起させ、原作のタイトルは昔と今を繋ぐ生徒と教師の心の絆を連想させるが、なぜ「二十年後の宿題」なのかは観た人にしかわからないし、原作は知らないが、映画では唐突に現れた言葉なのでタイトルとしては映画の方がいい。

一応ミステリーのカテゴリーに入るのだろうが、20年前の真実の謎解きそのものよりもはると教え子とが再会することで、20年間心の奥に閉じ込め凍りついた心が次第に溶けていき、苦しみ悩んできたやりきれない思いが癒されていく過程が心に響く。
20年ぶりに全員が一堂に会して歌うシーンは、往年の松竹映画みたいだと思いながらも恥ずかしながら涙が出てきた。