AN AMERICAN CRIME | roxyroxieさんのブログ

AN AMERICAN CRIME

映画を見たので感想を…
イヤ、重い映画でした。しかも本当にあった事件らしいです。

ジャケで虐待の話だと知ってたんだけども…


ストーリーは…
フロリダがら越して来たシルビアとジェニーは、日曜の教会である家族に出会い、両親が遊園地の巡業で(テキヤみたいなモノ)留守の間、その家族に週20ドルで面倒をみてもらう事になる。
金銭的に逼迫しているガードナー(母)によってお金が遅れた事でお仕置をされたりもしたが、シビアは新しい学校や友達とまずまずのスタートをきる。長女のポーラとはとても親しくなり、不倫していて妊娠したが、誰にも言わないでくれと相談されるが、不倫相手の乱暴な振舞いにシルビアはポーラが妊娠していると言ってしまい、ポーラに復讐を誓われてしまう。復讐とは母親に嘘をついてお仕置をして貰う事で、それに成功する。
そこから事あるごとにシルビアを目の敵にし始め、教会のピクニックで気になってた男の子と出掛けてしまい、家族会議と称された場で殴られ、タバコを押しつけられたり、コーラのビンを突っ込むように命令され、地下室に突き落とされる。
それからはシルビアは施設に送ったと嘘をつき、母親をはじめ、家族だけではなく友達もシルビアの虐待に荷担していく。水を掛けたり、殴る蹴るの暴行は勿論のこと、タバコを押しつける、縛り上げるという事を、何の関係もない人たちも誰一人止める事もなく続けていた。ポーラが本当に妊娠していることを検査結果と神父から知った母親は、息子にシルビアを押さえ付けさせ、娘たちに釘をライターで炙らせて“私は高慢な売春婦”と腹部に彫り、続きをシルビアに思いを寄せていたリッキーにやらせる。

映画のラストではポーラが深夜に母親の目を盗んでシルビアを地下室から出し、リッキーが巡業中の両親の元に届け、ジェニーを連れに戻ると、実はシルビアは死んでいたって話でした。ポーラと2番目の妹とリッキーが大慌てしながら、リッキーが通報して、ジェニーが全てを話すから保護して欲しいと警察に言う。

でも真実は暴行し過ぎてシルビアが死ぬと母親がマヌケにも自分で警察に通報して発覚したそうですけど。ジェニーの件は確か本当で。


イヤ、コワイ。
山奥の一軒家とかじゃなく、普通の住宅街で、両隣りも一軒家です。日曜は教会に行き、神の話を毎週聞いている、普通の家族ですよ。
確かに生活は厳しく、ポーラをはじめ6人の子どもがいて、しかも一番下はまだ乳飲み子。その子の父親は若いツバメという感じで生活費すら入れないで、抱いてやるから金寄越せ状態。金は無く、喘息でいつも具合が悪い。
小学生らしき3人の子どもがまた酷い。ジョニーだかジェシーだか忘れたけど、男の子が一番ヤバイです。タバコを押しつけるとか暴行とか、何の疑いも無くこなしちゃう。
戦争とかもそうだけど、異様な状況に置かれると善悪の区別がつかず、どんな行為も正当化されちゃうって怖い事だと思う。指揮官が良いと言えば何でも許されているという錯覚。そこに良心なんてブレーキはなくて。
隣人だって、何が起きているのか勘付いていたはず。シルビアが施設ではなく地下室に監禁され、虐待を受けていたと知った友達も誰も助けようとはしなかったし、弟に言われるがまま虐待に荷担していく。
妹は母親に脅されたとはいえ、実の姉が虐待されていても誰にも助けを求めず、助けようともせず。

しかも実際は、一度は逃げたシルビアを両親はまた戻したらしいです。

ポーラの不倫相手に妊娠を告げた事、シルビアに冷たくされたリッキーが立ち聞きしたポーラの妊娠を皆に触れ回った事、ピクニックで母親のツバメがシルビアに話しかけた事、ポーラの妊娠、全てのストレスをシルビアに向け、子どもたちは何の疑いもなく、お仕置と称した虐待に荷担し、取り巻く環境もシルビアを助けるものは一つもなくて、水さえ与えられなかったシルビアは涙を流す事も出来ず、死んでいった。

なんか…最後に、人生で起きる試練は全て神様の計画だ、みたいな台詞があって、いまだに意味が分からないというシルビア。だよね~私は神様なんて信じちゃいないけど、信じてる人に聞きたいよ。シルビアだけじゃなく、虐待で幼い命を無残に散らしていった子どもたちに神様が考えた計画ってなんだったのかと。
映画は裁判のシーンを挟みながら進行していき、母親は終身刑、子どもたちやその友達も有罪になったんだけど、母親は仮出所しちゃうし、みんな2年位しかくらわないわ、息子なんて神父になりましたって…責めて母親位は死刑でも良かったんじゃない?仮出所なしの終身刑とかさ。
本当、皆が悪いよ。ろくに知りもしない、1回会ったきりの女に普通預ける?しかも電話も手紙もないってなったら心配しない?隣りの家から尋常で無い叫び声が何度も何度もしたら、おかしいなと思わないのかな?想いを寄せている子の体に釘で字を掘ったり、叫び声を聞いても何とも思わないの?母親公認だからって、毎日毎日虐待する?友達まで毎日呼んでやらせる?しかもやる?
怖いよ、人間って。

日本でも虐待の問題はあって、それはいつまでも無くなんなくて、助けようとしてる人もいるけど、ちゃんと助けきれてない。面白いからって熱湯に入れたり、段ボールに入れて放置したり、よくそんな事ができるなって思う。確かに子どもは煩い、汚い、親の都合なんて構わないし、理想や幻想みたいには上手くいかないし。私も子育て真っ最中だけど、イラつく事もムカつく事もある。夜泣きが酷くて眠れなかったり、買い物中に大泣きされたり、やりたい事の半分も出来ないとか、そんなのしょっちゅうで、でも殴る蹴るの暴行を加えたい、タバコを押し当てたいとか、閉じ込めて存在を忘れたいなんて事考えられないよ。
手が出ちゃう事もある、でも一瞬の事で、それをずっと続けられないし、内臓が破裂するほど殴るって、何を考えてたら出来るのかと思う。


なんか…人間って…


ハァ…