今日は、私が交通誘導員として働いていたときの話をしたいと思います。
働いていたといっても、2ヶ月で辞めてしまったので、たいしたことは書けないのですが。
交通誘導員は大抵、二人一組で仕事をします。だから色んな人とコンビを組んで働くことになるわけですが、今日はその中のTという人の話をします。
Tは私と年齢が近いこともあり、仲は良かったのです。仕事が終わってから私の家に上げて私の部屋で話をしたこともあります。Tは免許を持っておらず、免許を持っていた私が毎朝Tを迎えに行って一緒に仕事場まで乗せていきました。
ある日、Tがお金を貸して欲しいと言うので、2千円貸しました。
その次の日、Tを迎えに行くと、Tは缶コーヒーを私に飲んでくださいと差し出します。いらないと言ってもしつこく差し出すので、しょうがなく受け取って飲んでいると、Tは私が飲んでいるところをじーっと見ていました。次の日も同じく缶コーヒーを差し出され、私が飲むとまたじーっと見ているのです。
そんなことが何日か続いたある日、給料日になったので社長から電話で給料を取りにきてくれと言われたので行ってみると、T以外の交通誘導員が全員揃っていて私を見るのです。社長から聞かれました。「お前、Tに金を貸してないか?」
「2千円貸してますけど」と答えると、みんな一斉に「あー」とため息をつくのです。社長が言うには、Tが私ではない別の人と組んだ時にも、「金を貸してくれ」と頼んでいたそうなのです。Tは働く前にパチンコにはまってサラ金から借金があり、会社が仲立ちしてTの給料から借金を棒引きにして払っていたということでした。
それ以来も、私は普通にTと一緒に働きましたが、ある日、なにくわぬ顔でTが私に言いました。「小銭ないっすかね?」
私は「きた」と思い、すぐに「さあ?ないね。」と答えました。Tはそのまま無言でしたが、明らかに機嫌が悪くなっていました。
それで私は分かったのです。こいつは私を金づるにしようとして、私が貸した2千円で缶コーヒーを私におごって貸しをつくろうとしていたことに。あげくに私を小銭入れ扱いしようとしていたことに。私は人がいいので、「こいつならいける」と読んでいたのでしょう。それに気がついた時に、私はTの姑息なやり口に虫酸が走りました。
でも実際、社長にTの素性を知らされていなければ私はまたお金を貸したかもしれません。そう思うとゾッとします。当然貸した2千円は戻ってきませんでした。
金を貸すときは戻ってくると思ってはいけません。みなさんもくれぐれもご注意なさいませ。