*レビュー2冊目「夏への扉/ロバート・A・ハインライン」

【あらすじ】
主人公ダンは愛猫ピートと充実した毎日を送っていた。美しい恋人のベル、親友のマイルズと共に経営する会社の業績は好調、可愛い少女リッキィにも慕われている。だが素晴らしい日々は、そう長くは続かなかった。信頼していた者に罠にはめられて全てを失ったダンは、冷凍睡眠を施され、30年後の世界で目覚める。発展した世界に戸惑うダンの心には、ピートを虐げ、自分を裏切った者への復讐の炎が宿っていた・・・

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護民官ペトロニウス、と聞いて一体誰が猫の名前だと思うでしょうか(笑)
本書は著者、ハインラインの猫好きが大いに表れた作品です。
巻頭には「世のなべての猫好きにこの本を捧げる」とあるほど。
文中に時折出てくる「ナアウ?」「ニャンニャアゴ」といったピートの可愛らしい声に、
猫好きは思わず頬が緩んでしまうことでしょう!


さて、本作はタイムトラベルを扱った物語です。
トラベル、と言っても自由自在な時間旅行は出来ません。
戻れるのは過去のみ、では未来へはどうやって行くのか。
結論、寝て過ごします(冷凍睡眠で)。とても分かりやすいですね。
(この設定が後々活きてくるわけですが)

30年後の世界に来てしまったダンの取った行動とは?
そしてピートの運命はいかに・・・!?

300ページ強ありますが、サクッと読めてしまいます。
読後感もとても良いので、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。


ところでタイムトラベル系の映画には名作が多いと言われています。
確かに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「時をかける少女」、
「バタフライ・エフェクト」、ちょっと毛色が違いますが「オーロラの彼方へ」など、
評価の高い作品が多い気がします。
(個人的には「恋はデジャ・ブ」が好きです。)

人気のある作品は、ほとんどが「未来」でなく「過去」を変えようとする話です。
人間誰にでもやり直したい過去、取り戻したい時代があるもの。
過去に引きずられる生き物だから、人はタイムトラベルに惹きつけるのかも知れませんね。


夏への扉[新訳版]