12畳ばかりの空間。


渋谷を代表するような組織の、


応接室兼、所長室としましては手狭な空間です。


さして目を引く、彫たく品のたぐいもありません。


机もマホガニーではなく、がっしりした鉄製。


革張りのソファーもなく、


お客は、塩化ビニール張りのソファーでもてなされます。


ギン: では、我々の戦いは終わったという事で、よろしいですね


権藤: 異存はねぇよ


ギン: では


権藤: ではって、もう帰る気かい。ゆっくり茶でも飲んでけよ。おい、上等なツマミはまだかい。いったい、何処まで買いにいったんだ


ギン: いえ、ルキスに戻ってやる事もありますんで


権藤: まったく、ギンさんが帰るって、言い出しちまったじゃねぇか。電話でいそがせろ


ギン: 本当にお気遣いなく


権藤: いや、待ってくれ。相談もあるんだ


権藤さんはそう言うと、思わしげに天井に目をやると、


決心したように軽く頷きました。


権藤: これからはよ、飯でも食う機会をつくらねぇかい。そうだ、月イチで。そこで今後の渋谷の事とかを、話そうと思ってな


それを聞くと、ギンさんは呆然としました。


大げさに言えば、


権藤さんは、ルキスを、


渋谷の共同統治者に指名したとも受け取れます。


権藤: 月イチでよ。俺とお前と、ミハエルでよ。旨いものでも喰おうぜ。渋谷の治安の話なんかしながらよ。・・・な


ギン: どういった意味でしょうか


もう、間違いありません。


権藤: お前に駆け引きなんてしても、仕方ねぇや。ぶっちゃけて言うぜ。今回の戦いで、俺達セクターポリスは、株を下げちまった。多少なめてくる奴も出てくるかもしれねぇ


ギン: 考えすぎですよ


権藤: まぁ聞いてくれや。それに引き換え、お前達の評価はウナギノボリだ。突っかかってくる奴も増えるかもな。だからよ、俺達セクターポリスをなめてきたら、ルキスも相手する事になる。おんなじに、ルキスに突っかかってきたら、そう言う事だ。そんな話だ。俺達で手を組んで、渋谷の治安を守ろうってんだ。商売だってし易くなるぜ。お互いにな


一方だけでは舐められても、


二つが一つに見えるようにすれば、


バカな考えに歯止めが掛かるわけです。


表面上は善戦したルキスですが、


セクターポリスの方が実力的には、はるか上。


強者のセクターポリスが、同等の立場に立って、


持ちかけきたのが、みそです。