父達よ,そして新しく加わった者達よ。
古代ローマの元老院議会の開会の文句です。
・・・・・・只それだけです。
むき出しのコンクリート。
その壁面のヒビに、セクターポリス署員は目をやっています。
築70年といった所でしょうか。何の変哲も無いビルです。
世界という社会が停滞して久しい、時代。
古びれ、漏水した天井の方が珍しくありません。
人工物と自然の融合でも目指したのでしょうか。
ビルの規模からは、思い切って取られた、
中庭のスペースに目がいきます。
手入れのされない、中途半端な自然が、
コンクリートを蝕み、そこいら辺に氾濫してきたコケが、
コンクリートをくすんだ色に変えていきます。
セクターポリス構成員A: たしか此処だったような
権藤: おいおい、しっかりしてくれよ
セクターポリス構成員A: 真っ暗でしたしね。それほど注意してませんでしたか
ら
権藤: まぁいいや、此処だな
そう言う権藤さんの目の前の扉に、ゲジゲジの類が這っています。
権藤: 気配がねぇな
そう言うと、回りの署員に目配せしました。
権藤: 開けてみろ
権藤さんに言われて、1人の職員がドアノブに手をかけます。
セクターポリス構成員B: 鍵は掛かっていませんね
権藤: いねぇな。まあいい、開けてみろ
勢い良く開けられたドアの向こうは、薄汚れたガランドウの空間です。
ただ、何枚かの毛布が床に置いてあります。
権藤: 毛布か
セクターポリス構成員B: 荷物の養生にでも使ったんですかね
権藤: 真新しいぞ。くせぇな
セクターポリス構成員B: ですね
権藤: 二人ぐらい張りこませておけ
権藤さんは、取り出したばかりのタバコを、
ごつい手でモミクチャにすると、
バラバラになったタバコを、床に放り棄てていました。