もちろん、今はもう吉祥寺ナッティドレッドはない。
あの大きなボブの看板をよく知る人に会えただけで、もういいのだ。
吉祥寺ナッティドレッドは幻ではなく、本当にあったんだ。
若い頃に買ったボブやジミーのレコード(もちろん吉祥寺ナッティドレッドで買ったものもある)をけっして手放すことなしに今日までこれたのは、なぜだろう。
今のように手軽に音楽が買える時代ではなく、レコードそのものが高価なものだったから、厳選して「自分の金で買う」一枚と「誰かに借りて聴けばいいや」というそれとを自然に区別したりもしていた。
だが、ビートルズやローリングストーンズは友人に借りられても、当初ボブ・マーリーやジミー・クリフは自分の周囲に誰も持っている人がいなかったのだ。
当初と書いたのは、のちに「貸しレコード屋」が存在した時代が、束の間だけあったからだ。
その辺のことも含めて、もう忘れていることも多いが、単に記録しておきたくなった。
あの当時、レガエを「売る」立場だった人達はおそらく自分より少し上の年代で、彼らがレガエの頭(かしら)だとしたら、自分はレガエの尻尾かもしれない。
数年後には、もしかしたら、地球の裏側ジャマイカから日本へと思いを馳せることになるかもしれない。
そんな予感を抱きながら、ここしばらくは、日本から考えることで浮かび上がってくるジャマイカを切り取って発信してみたい。
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