朝焼けの歌 -5ページ目
近いと息苦しくなる
遠いと感じなくなる
距離の取り方は難しい
近過ぎるときは威嚇や牽制をしなければならず
遠過ぎるときは手を伸ばし誘わなければならない
生きることは一筋縄ではいかない
もっと上手く生きる術を身につけるべきだ
もう失いたくもないし
心に痛手を負いたくない
だからこそ自分をしっかりと持ち
適度な距離の取れる、空気の読める人間になるべきだ
それを理想に掲げながら
今日も他人との間合に翻弄されている
からっぽ
それは満たされるためにあるのか
永遠の孤独を思い知らされるためにあるのか
判らない
満タンになることなんてないのだろう
思春期の夢見がちな頭が、勘違いすることはあるけど
はぁ…
参ったな
この器には何も入ってないぞ
吹き抜ける風が唸るだけで
自分から響きもしない
今にも崩れそうだ
いつまで経ってもからっぽのまま
それが課せられた業なのだろう
もう、言葉は必要なかった
誰かが聞いてくれる訳でもなく
誰かの耳に届く宛てもなく
唯々、金切り声を上げる心が
夜の闇に潰されただけ
充たされない
感じない
伝えきれない
想えない
纏められない
癒やせない
歩き出せない
眠れない
それでも言葉を発した自分は
誰かに聞いて貰いたかったんだろう
声にならない声は
街灯の光にさえも照らされず
夜半の闇に溶けていった
もう、言葉の意味すら解らなかった