忘れられていく

そう、狐は笑った

 

境内の石畳を裸足で歩く狐

夕焼けを見つめながら、目を細める

 

少し遠いところから聞こえる人間たちの笑い声

あそこは確か、有名な神社でこことは比べ物にならないぐらい楽しそうだ

 

きれいなお守りに、おしゃれな御朱印

色とりどりの屋台に、楽しいイベント

 

なるほど、私なんて忘れられてとうぜんだ

 

静かな境内

誰もいない社に狐は座り込む

 

それでもこの雰囲気が好きだって、あの子は言ってた

 

大勢じゃなくてもいい、ただ一人でもここを好きでいてくれたら

神はあり続けられる

 

だけど、

 

……あぁ、そうか。そうなんだ

 

狐の姿が透けていく

誰にも気づかれることなく消えていく

 

誰かと笑っているあの子の声が、祭囃子とともに聞こえる

遠くから聞いているだけでも幸せそうだ

 

すごいなぁ、やっぱりでっかい神社は、すごい神様なんだなぁ

 

『友達が欲しいです、お狐様』

 

 

できればここで叶えてあげたかった