ご存じ怪盗猫娘 第11話 獣の血 | 高須力弥のブログ「ローレンシウム荘事件」

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 1
 
八木沢と松池はブルートゥスの入って行った青い扉に入った。




 部屋の中央ではブルートゥスが待ち構えていた。
部屋の奥には黄の部屋と同じようにもう1つ扉があった。

 ブルートゥスがフードマントを脱ぎ捨てた。
その下から現れたのは、フレイル型モーニングスターを持った上半身裸の辮髪の肥満体の男であった。
「俺が三魔将最強の男ブルートゥスだ!鍵が欲しくばこの俺を倒して奪ってみろ!」
ブルートゥスが叫んだ。

「なあ松池。アンドロイドってのは人間じゃないんだよな?だったらブッ殺しても構わねえよな!」
八木沢が言った。
「正確には「ブッ壊す」ですけどね!」
松池が言った。

 八木沢はブルートゥスの全身に続けざまに6発の弾丸を発射した。

 ブルートゥスに当たった6発の弾丸は体の表面でとどまり、全て弾き返されて床の上に落ちていった。

「無駄だ……。俺の体は特殊な素材で出来ていて、人力では傷つける事すら出来ず、あらゆる金属による攻撃に反応して瞬時に硬化する……。この世に俺を倒せる人間は存在しない。」

「面倒な奴に当たっちまったな……。仕方ねえ。松池!あれをやるぞ!」
八木沢が言った。

「何をするつもりかは知らんが、無駄な事だ……。」
ブルートゥスが言った。

 八木沢はスーツの内ポケットから銀色の銃弾を取り出して弾倉に込めた。

 松池は八木沢の方を向いた。



 2

 八木沢は突然松池の方を向き、松池の心臓目掛けて発砲した。

 八木沢が発射した弾丸はを松池の心臓を的確に貫いた。
松池は声をあげる事無くその場に崩れ落ちた。

「馬鹿な!血迷ったか!」
ブルートゥスが叫んだ。

 まもなくして倒れていた松池の両耳がピクピクと動いた。
松池の顔が次第に灰色の毛で覆われ、上半身がむくむくと膨らんでいった。
松池は立ち上がり、上着とシャツを脱ぎ捨てた。
松池は天井を向いて力の限り咆哮した。
その姿は全身を灰色の毛で包んだ人狼であった。


 3

「な……何なんだ……!お前は!!」
ブルートゥスが驚いて叫んだ。

松池はその問には答えず、ブルートゥスの元へ走って行った。

 松池の鋭い爪がブルートゥスの肌を切り裂いた。

さらに松池はブルートゥスの首筋に喰らいつき、内部の機械を嚙み砕いた。

「ば……化物め……。」
ブルートゥスの目から光が消え、動きを停止した。


 4

「松池!」
八木沢はスマートフォンを取り出して松池に見せた。

その画面には夜空に浮かぶ満月の画像が映し出されていた。

松池の体から徐々に灰色の毛が消え去り、元の姿に戻った。


「よくやったな。しかし、うまい具合にあいつらと別行動になってくれたもんだな……。」
八木沢が言った。

「あの姿を先輩以外の人間に見られるわけにはいきませんからね……。」
松池はそう言って仰向けに寝そべった。

 八木沢はブルートゥスのズボンのポケットから鍵を取り出した。


 2人はその鍵を持って奥の扉に進んで行った。