僕はしばらく、疑心暗鬼の状態におちいった。何だか騙されているような気分だ。だが、騙すといっても、その目的が分からない。
「うーん。これには何か裏があるな」
まだ少し話した程度で、あの人たちのことは正直言って分からない。信用はしない方がいいだろう。
いろいろと考えを巡らす。悪い方に考えると、何かの勧誘の類といった可能性もある。
「いや、待てよ?」
もとはと言えば、これはナンパ部隊への勧誘だった。いや、正確に言うと、スミスさんのブログに載っていたナンパ隊員の募集に、自ら進んで応募したのが始まりだ。だが、その募集が罠という可能性もある。
コーヒー店に入った時、顔も知らないはずなのに、僕のことを知っていたかのように席に案内したことも怪しいと言えば怪しい。
考えれば考えるほど分からなくなる。
しかし、今までのスミスさんのブログ記事を見る限り、ナンパに対する熱い想いは確かに僕に伝わった。だからこそ、勇気を出して連絡した。
モテないと悩む人をカモに、高額なお金を取るナンパ塾やセミナーが多い中、スミスさんはお金は取らないと言っていたから、良心的だと信じたい。
とりあえず、映画のチケットも買ったことだし、中に入ろう。
これから観る映画はナンパ映画かもしれない。ナンパを題材にした映画作品はいくつかあり、そのほとんどが既にチェック済みではあるが、今から観る作品は僕が知らないだけで、ナンパ映画かもしれない。
ナンパとまではいかなくても、女性を落とすために役に立つような内容なのかもしれない。
ナンパできない僕のために、スミスさんが用意したサプライズ。スミスさんを信じよう!
映画で思い出した。さっき本人からチラッと聞いたが、スミスさんがスミスと名乗っている理由は、某ハリウッドスターに似ているからだそうだ。人からも何度か言われたことがあると言っていた。
僕はそうは思わないが。どちらかと言うと、さ◯なクンに似ている。どちらかと言うと、というのもおかしな話だが。あのトレードマークの帽子を被せたいくらいだ。
こんな話はさておき、映画だ。映画を観てみないことには、さ◯なクン、いやスミスさんの意図が分からない。