スクリーンに入場した。もちろん、スミスさんに指定された映画が上映される。僕の知らない映画だ。
「気になるアニメ映画があったのに……」
と呟く。
映画のタイトルと写真を見る限り、海外の映画ということは分かる。だが、どんな内容なのか想像できない。
上映開始から30分が経過。なんと、それはボクシング映画だった。
「つまらない……」
よくある、不良少年がボクシングを通して成長する物語だろう。
ここでふと気が付いたことがある。
「もしかして……」
僕が最近読んだ漫画で、とある部活に入部した新入部員を試すテストとして、無理矢理、映画を一人で観させるシーンがあった。
今思うと、僕が現在置かれている状況と全く同じではないか。
漫画では、その意図は、時間とお金の関係性を問うためであったが、これも同じことなんだろう。
セックスできない相手と、お金を使い続けてデートすることはとても無駄である。つまらない映画を、お金を払ったからと言って最後まで見続けようと思う。無駄な時間を過ごしているにも関わらず。
一緒なことなのかもしれない。
「まだ分からない。セックスできるかも……」と思いながら、デートを続ける。
これは、今まで僕がしてきたことに当てはまる。つまらない映画をつまらないと思いながら観てしまうことと同じ。
ナンパでは基本的に、相手とは一夜限りの関係となる。よって、声を掛けたその日の内に即ベッドインが理想的である。
そのような相手が見つかるまで、次から次へと声を掛ける。だから、見極めは重要だと言えよう。
スミスさんは、僕が抱ける女かどうかを見極められる奴かどうかを試しているんだ、きっと。
「僕はもう、決して時間を無駄にはしない」
僕の予想が当たっていれば、スミスさん達はもう既に映画館の前で待ち構えているはずだ。そして、五郎さん、マサトさんとともに、僕が何分で出てくるかを賭けているはず。これがスミスさんの言っていた入隊テストなんだ。
「ここを出よう! 今すぐに」