「チキッた」

手を繋いだまま、ホテルまで歩を進めていたが、相手がそれを察したかどうかは分からないが、帰る空気になってしまった。

帰ろうとする相手に対して何も言えなかったのだ。「ちょっちょっ、これからホテルに行くところなのに?」と心の中でツッコミを入れてしまった。

主導権を握っていたのだから、そこは強引にでもホテルに行くべきだった。下心があることを悟られるのが怖くなってしまったのだ。この期に及んで。

やはり、僕はチキンだ。チキン中のチキン。

まもなく、解散した。

チャンスを逃してしまった。

「もう、次はないな。次の駒を探すしかない」

帰った後、一人で反省会を開く。今日の行動を細かく振り返り、何がいけなかったのかと考える。

ハンドテストはクリアした。ここまではいい。だが、その後が問題だ。押しが弱かったのだ。それに尽きる。

相手が帰ろうと言っても、有無を言わさず、ホテルまで行くことは出来たと思う。そこで、拒否されたのなら諦めもつくが、もしかしたら、ベッドイン出来たかもしれない。

だが、下心を悟られまいとする見栄が邪魔して、それが出来なかった。自らセックス出来る可能性を消してしまった。これでは最善を尽くしたとは言えないだろう。

すごく、中途半端な結果に終わってしまったが、これも経験。今さら後悔したって仕方がない。「同じ過ちを繰り返さない」そう心に誓った。

今まで、相手とデートした内容を友人に報告していたが、今日のことはとてもじゃないが話せない。さすがに恥ずかしいし、情けない。誰にも話さない。墓場まで持っていく。いわゆる、黒歴史というやつだ。

ただでさえ、ナンパ師宣言したにも関わらず、未だにナンパ出来ずに居るんだ。何を言われるか分からない。

これも見栄やプライドだろうか? 都合の悪いことを隠蔽しようとする心理が働いている。

「まあ、いいや」

ポジティブにいこう! 今日のことは忘れて、次だ、次。

新たなる駒を探し求めて、婚活パーティーに参加するのであった。