こんにちは、塾講師わずです。
「スマホ脳」の考察、第4弾。
スマホ社会と、どう向き合っていくべきか
です。
- 私達の脳は依存するようにできている
- スマホは依存性が高い。
- スマホ依存は心身を蝕み、子供はなおさら知能を低下させる
「スマホ脳」では、科学的分析を論拠として、こういった事実を解説してきました。
しかし、こう思ったでしょう。
そりゃそうでしょ。別に驚かない。
それはわかるけど、じゃあどうすりゃいいの?
スマホを使うなってこと?それは現実的に難しいだろ!
多くの方がそう思ったことでしょう。
私も思いました。
最終章では、
こうしたスマホ依存の弊害と、いかにして向き合っていくべきか。
を解説していきたいと思います。
最終章 スマホ社会をどう生きていくか
●現代社会の最良の処方箋
スマホによって、より多くのストレスを抱えるようになった。
そう前章まで述べて来ました。
それを自覚している方も、きっと多いでしょう。
しかしながら、こう思った方もいるのではないでしょうか。
今に始まったことじゃないでしょ。
と。
そう。現代社会がストレスを抱えやすくなったのは、スマホが登場したからではありません。
スマホが普及する前から、ストレスを抱えてる人、鬱病に悩んでる人は夥しいほどいたのです。
ただ、それに拍車をかけることになった。それだけのことです。
では、このストレス社会を克服するには「スマホを手放す」
こんなことをしただけでは、解決しないということです。
では、どうするか。
しかし、そんなの現実的じゃない。
何かを断捨離しても、依存してる状態ならば、我慢できずに再び使い始めます。
酒やタバコを辞められない人が多いことから考えれば、スマホを辞めることもまた難しいと容易に考えられるでしょう。
手放しても克服できない?じゃあ、どうしたら?
その前に、そもそも、現代人はどうしてストレスを多く抱えるようになったのか?
まずそこを考えてみましょう。
会社がなかった、仕事が単純だった、緑が多かった、
いろいろ考えられますが、「スマホ脳」でハンセン氏は、「運動をしなくなったこと」にあると指摘しています。
スポーツ選手でも、鬱病にはなります。しかし、それは周囲からの期待の重圧や、葛藤、嫉妬など、現代人ならではの悩みからのものです。
古代ギリシアのオリンピアがあるまでは、運動で誰かと競うということを我々の先祖はそこまでしてこなかったはずです。
そのため、現代人よりは精神疾患を抱えていなかった可能性があります。
それは大会がなかったから、という話ではなくて、
運動が脳に良い影響を与えるから。
なのです。
そもそも脳は、どうして身体に信号を送るのか。
それは身体を動かすためです。
身体を動かすために脳は進化した。
それは狩猟採集社会だったからです。
獲物を獲る、敵から逃げる。そういった、いざという時に集中できるように、運動をすると集中力が増すように、精神も落ち着くように、脳は進化してきた。
だから、現代人も運動をすることでストレスが軽減されることが多くの実例で明らかになっている。
仕事ができる人はジムに通ってる。
できるビジネスマンになるなら、運動をしなさい。
そうした話を耳にしたことがある人は少なくないように思います。
それは、気のせいではなく、科学的にも明らかなことなのです。
そして、これは子供でも大人でも同様の結果らしいです。
狩猟採集社会では毎日のように身体を動かしていた。
農耕社会になっても、農作業するために身体を動かしていた。
しかし、現代社会はすっかり便利になりすぎて、身体を全然動かさなくなり、命懸けの狩りもしなくなった。
狩りの際に使用していた集中力は、机の上で資料をまとめる際や、営業やプレゼンなどの際に使われるようになった。
PCでの資料作成も高い集中力を使うが、狩りや農耕の時ほど身体を使うわけではない。
だから、数万年、身体を動かすために進化してきた脳は運動しなくなった現代では異常をきたすようになってしまったのです。
この生物学的な要因によって、現代人はストレスを多く抱えるようになったのだということです。
確かにこれは頷ける話で、実際に運動によってストレスを軽減させ、精神疾患を克服させた人が大勢います。
これはスマホ社会でも変わらないのではないか。
そうハンセン氏は言っているのです。
スマホが便利で、精神に異常をきたすものでも、その精神をまともな状態にできれば、依存することはないのだということです。
ジムに通わなくても、ちょっとした運動をするだけでも全然違うらしいです。
スマホ依存してる、ストレスを多く抱えている人は、まず運動を始めてみてはいかがでしょうか。
●テクノロジーと、どう向き合うか。自然回帰が良いのか?
以上が、スマホ社会に対するハンセン氏の提言です。
こう聞くと、ハンセン氏は
「現代テクノロジーが嫌いな人なんだな」
と思う方もいるでしょう。
確かに否定的意見が散見されましたが、テクノロジーというだけで条件反射的に嫌ってるわけではないです。
彼は精神科医で、医学的見地から、身体にも精神にも良いとは言えない。心身を、知能を、著しく低下させている。
そう述べているだけ。
結果的にテクノロジーを批判することになってるだけです。
実際に、彼は最後にこう言っています。
自然主義的誤謬(昔の社会、暮らしにより近い方がいいんだとする考えの誤解)になってはいけない。
たとえば、眼鏡や避妊具、ペースメーカーは、自然のものではなく、自然に逆らうもの。
だけど、我々は必要だから使う。
自然主義的誤謬を支持するなら、これらも駄目だということになる。
だが、ハンセン氏はそうは言ってない。
テクノロジーが進化するのは良い。だが、テクノロジーが進化するあまり、我々の知能や心身が退化していってないか?
それを「スマホ脳」で論じていたのです。
私はこれを読んで、相変わらず「スマホ依存」をしていても良いと思います。
ふとした時に、
「そういえば、マルチタスクは却って集中力を低下させて非効率と言ってたな」
と頭の片隅から引き出せるようにしておけば良いと思います。
知識とは引き出しを増やしていくこと。
私はそう思います。
そしてその引き出しは、いつ、いかなる時に必要になるか、誰にもわからない。
必要か、不必要かなんて、誰にもわからない。
だから、知識はありすぎて困るものではないんです。
たとえ、賛同しかねる意見や興味がない意見であっても。
「スマホ脳」。ローテクな理論に嫌気がさした方もいるかもしれませんが、そうした意見もあると考えるといいのではないでしょうか。
かくいう私も重度のスマホ依存性。
自戒も込めて、締めくくらせていただきたいと思います。
ご購読ありがとうございました。