さて、博士スカラシップが切れる3年まであと残すところ4ヶ月。
それまでに論文書いて出して博士になる!って息巻いて居ましたが、これはなかなかシビアですね。というのも、過去最短が3年と2週間らしいので、本当に歴史を塗り替えるつもりで頑張らないと。
多分、半年の延長はしてくれるんだろうけど、やっぱり学生は貧乏でしんどいので早く業務(会社)に戻りたいです。
そんな中、今年三つめの論文を書きました。
と言っても、1年目、2年目はひたすらインプットと理論構築、実験、プログラミングなどをやっていたので結果らしい結果はゼロ。まぁ、その2年分を今年回収しているって感じです。(今年は論文三つ、国際会議一つ)
自分的には普通にやっていたつもりなんですけど、スーパーバイザの一人に「super productive」だと言われました。まぁ、確かに論文なんて一本あれば万歳しながら博士号もらえるくらいですからね。
こちらイギリスでは学部から博士までずっと同じ事をやるってのは中々なくて、広く色々知識を広げながら研究します。研究室という単位ではなくて個人のオーダーメード。担当教官も数人ついたりして、学部分野を跨いで研究したりします。なので、博士から新規の分野スタートなんて普通です。従ってその三年間で論文一つあったらまずまずだねってなるんです。二つあると「優秀」、三つあると「超優秀」、四つあると「そういう分野なんだな」ですけど。
まぁ、分野によってはできちゃったシリーズでどんどん論文書ける分野もたしかにあるので、たまに6つとかいますね。化学とか実験系は可能性あります。
一つ言わせてもらいたいのは自分が論文三つも書けたのは超優秀だからではなく、「それなりに大人」だからです。自分が25歳くらいの時に研究しろって言われても、「実験して点を直線で結んで「相関あります」」しかできなかったと思う。そういう意味では彼らは彼らなりに頑張っているのだと思う。
自分の過去(修士・学士)の失敗から学んだことは、「いきなり研究してもつまずく」ということ。研究室入ってから先輩に色々教えてもらって「わかったようなわからないような感じ」で研究続けても「本質わかっていない」ってのはよくある。
そこから学んだのは、「すぐできることに手を出さない。まずは基礎工事をしっかりやって理論が十分習得でき、かつある程度の問題を解決できる程度の数学力が身についてからでないとどんな研究も行き詰まるし、ちょっとゴマかしが入ってくる」ということ。
まぁイギリスだと師弟関係もないので、みんな独立した研究者。だから先輩の指導も無い。お互いの強みを生かして助け合っているくらいだしな.....
前半戦はひたすらインプットインプット。
基礎ができると、研究ってすごく進めやすくなる。問題にぶつかった時にそれを解決できる手段を多く持っているからだと思うかな。まぁよくわからないけど、気がついたら沢山の数学の本は読んでいた。統計学とかもかなり応用まで手を出しているし。
お陰様でもう一個論文クラスの研究成果も学位論文には載せられそう。
自分で言うのもアレですが、結構頑張ったとおもいます。
ひたすら耐えて、文献・書籍に取り組んでいるのって結構プレッシャーかかるんです。「こんなのんびりやっていて間に合うんだろうか?」「一年目は何もしていない、ただ本をひたすら読んだだけ」すごく不安に思いました。隣で同僚がラボにいってじゃんじゃんサンプル作って、測定して、よくわからないプロットして。すっげー不安だったわー。あーよかった、人に見せられるような結果が4つくらいはできて。
2年目の終わりくらいに、「オリジナリティの無さ」に不安を感じ2週間机にひたすら向かって新たな理論構築を目論みるも、失敗。焦る焦る。そんな日々もあった。でもこの経験は結構勉強になりました。かなり高い目標を掲げてそこに向かうんですけど、途中で少しレベルは下がるけど面白い結果が得られたり、成果が出たりするんです。
この経験で
「研究のスポット」を見つける→難しいと分かりながらも頑張って取り組む→「あれ?これも新しくね?」が見つかる→進める→論文完成
の流れが見えました。
目標達成能力は磨かれませんが、科学技術の進歩ってこうなっているんだなと体験できたように思います。
ようやく三年目の後半に入って「学位論文十分書けるだけのネタがある」って思えるようになりました。それで今書いているわけですけど。
さて、いよいよ年末です。年末は帰国するのでラストスパート!!
ではよしなに。