技術立国日本!

世界トップクラスの技術力を誇る国

日本が無ければ世界のモノは動かない

 

という話はしばしば耳にすることかと思います。

私はこれに関して正しいと思いますが、但し書きが入ります。

 

「但し、大量生産品において」

 

です。

 

トヨタも、日立も…もちろん私が以前勤めていたメーカーも世界でのプレゼンスは計り知れません。コレは正しいのですが、実は製品の利益率みたいなものに関しては英国のメーカーに対してかなり見劣りします。

 

具体的な例を出せば

100円均一 と デパート

と似ています。同じ商品があった場合、圧倒的にデパートが高いですよね。

 

私は100円均一でしばしばふりかけを買いますが、デパートのふりかけは生でしっとりしていてもう別物としかいいようが有りません。

 

日本の場合、大量生産によって高品質な商品を安く売りまくることで利益を上げるビジネスモデルに対して、英国では高品質(他がまねできない)モノを少量売ってガッツり稼ぐビジネスモデルが多いように感じます。

 

この傾向の違いは技術者の採用に顕著に現れています。

 

日本では物理や数学系の「理学部」を出ていると、

 

「使えない」、「先生になるしかない」、「趣味の世界」、「就職無い」

 

のような悪いイメージがあるかと思います。一方、工学部は

 

「就職多い」、「使いやすい」

 

です。一般の技術系の企業では研究所で研究する人が工学部出身というのがかなり多いかと思います。つまり、日本のメーカーでは「工学部レベル」での研究開発をメインにしているということです。

 

一方英国では、研究者となると「物理系」「数学系」の人は引く手あまたです。企業の研究開発の中枢は理学系出身者です。

 

この事実は普通に考えてみれば至極当然の事です。我々自然科学に従事するものは自然を科学の力によって理解することを目指しています。その現場では最も自然に近い学問が理学な訳です。原理原則を自然界から導き出して、それを製品にしていく。

 

このプロセスにおいて、過去に例の無い、他の追随を許さない技術商品を生み出すことができるのは工学部出身者ではなくて、やはり理学系出身者なんです。

 

工学部というのは出来たものを実際に世の中に出すために、ユーザーと理論の間を橋渡しする役割だからです。つまり、理論を生み出したり原理を発見するわけではなくて、それらを使って一般人がブラックボックスで新しい技術に触れられるようにする人達な訳です。

 

という事で、英国やヨーロッパでは理学の力で唯一無二の商売をメーカーがやっています。日本はそれを見てコピーして、生産技術に力を入れて安くするって感じです。

 

中国となんら変わりは有りません。結局、ゼロから一を生み出す力が乏しいんです。まぁ、中国よりはずっと行儀が良くて、ちゃんと国際ルールを守るという点ではOKでしょうけど。

 

日本は将来を見据え、こういうコストの競争を避けて、高付加価値商材に力を入れるべきです。これには「新卒一括採用で入社後に鍛える」という専門性の低い技能伝承ではなく、アカデミアでちゃんと勉強し、専門性を高めた人をピンポイントのポジションで採用していく方向に切り替えていく必要があるかと思います。

 

 

それでは良しなに。