自分は日本でそこそこの大学を出て、一流企業と呼ぶにふさわしいメーカーに研究職として入社。この時点で一生安泰、「楽して生きていけるぜー」と思った矢先、何を思ったか会社を辞め中小の外資系企業に転職。もちろん待遇は良かった。しかし従業員数が1/50の会社に転職。それから2年と経たない内に英国で大学生になる。

安定や終身雇用、高待遇を望んだのにそれを自ら手放して、あえて棘の道を進んでいるようにも見える。

そんな話を妻としていた。妻が言った
「なぜそんなに色々勉強したり、色々やろうとするの?」

自分「それは安定した未来が欲しいからだよ」

「え?安定が欲しいわけ?」

自分「そうだよ。安心したいんだね」


自分の中では当たり前の答えだったのだけれども妻には意外だったようだ。

自分の中の「安定」の定義は何があっても家族を守り抜くことができる強さだと思っている。

大企業に入って安定か?いや違う。会社が傾けば影響を食らうのは自分。だから会社に依存しない自分、会社の看板が無くてもお金を稼ぐことができる自分が必要だと思っている。

それを達成するには安定した大企業にいることが得策とは思えなかった。
なぜならそこに居るオッサン達はお金は持っているが、他の企業が喜んで引き取ってくれるとは到底思えなかったからだ。


つい先日、とある英国のエネルギー関連企業からお誘いメールがある。
当然、現状を踏まえてお断りするわけだが、こういう企業に対して魅力を感じてしまう自分がいるのも否定できない。

安定・高給…いつでもこれが頭をよぎる。

エネルギー、インフラ、公務員、寡占産業…は安定、高待遇をもたらしてくれる。その一方で従業員は会社依存。スキルも低い。
せっかくエリートをリクルートしているのに「大してやることの無い会社・産業」で仕事をさせるのは人材の無駄遣いだとも思う。

自分が前にいた会社もそうだった。そうそうたる大学出身者が泥まみれになりながら現場で仕事をする。別に悪いとは思わないが、そこでは高校・大学で学んだ理系の知識なんてほとんど使わない。

とはいうモノの、何か有ったときの引き出しとして知識は必要なのだが、これをわざわざ超一流校出身者にやらせる意味が良くわからなかった。もったいないと思った。

だからこそ、いい大学をでて就職先に困らない人はそのあたりを良く考えて欲しい。待遇が良くて安定しているというのは、逆に見ると「変化が無い」「やる事が無い」「誰がやっても大差ない」仕事が多いという事だ。

安定していないというのはネガティブな表現だが、そこでは絶え間ぬ努力と「才能・能力」が必要とされ、自分を大いに高めてくれる。

高待遇でも安定しない産業や、新しい産業・会社で自分の能力を生かし、さらに発展させる という考えを特に新卒の人には選んでほしい。

優秀であればあるほど安定・高待遇な会社に入社できる。しかしそのあと待っているのは「誰にでもできる仕事」、「頭を使わない仕事」である。それが自分が必要とするものなのか?よく考えて欲しいと思う。


これは自分への戒めも含めて書いている。
エネルギー関連企業に「心ときめいた」自分に。


ではよしなに。