先週12,13日に、ジルマ伯大統領が中国を訪問し、就任後初の首脳会談が開催されました。
ブラジルにとって、最大の貿易相手及び投資元である中国との首脳会談はやはり注目度が高く、国内のテレビ放送でも大きく取り上げられていました。
今回の首脳会談の成果を、ブラジル側の視点から個人的にコメントしたいと思います。
経済については、ある程度の成果を上げられたとブラジル国内で評価されています。
今回は、計250人以上の企業家を伴って訪中しており、経済的な目的が占める割合が高かったと思われます。
それもそのはず、中国はブラジルにとって、2009年以降は最大の貿易パートナーとなっており、またブラジルへの最大投資国の一つとなっています。
今回の主な成果は、以下の通りでしょうか。
◎ブラジル産豚肉に中国市場が解放されること(輸入がたくさんされるかは現時点ではわかりませんが、何より人口が多いため、ブラジルからの輸出が増加する可能性はあります)。
◎中国がエンブラエル製の航空機を購入(かつ、2002年に開き、閉鎖の危機にあったエンブラエル工場の操業への許可を得た)。
ジルマ大統領も、「満足はしている。我々の関係は質的に向上したと思う。ただ、我々はもっと欲しい。」と語っており、そこそこの成果を得てはいるものの、まだまだ目的に達していない部分があることがある旨、示されています。(muito satisfeita. Acho que foi um salto de qualidade em nossas relações, mas queremos mais)
ただ、ブラジルの懸案事項であった、貿易の多様化については、「共に努力する」といった表現となっており、豚肉の貿易を抜いては具体的な前進は見られないように思います。
また、共同声明には「中国側は、自国企業がブラジルの高付加価値商品の輸入を増加するよう促していく意向を示した」と宣言されていますが、何ら具体的な進展が見られるかは不明です。
(A parte chinesa manifestou disposição de incentivar suas empresas a ampliar a importação de produtos de maior valor agregado do Brasil.)
政治事項については、国連安保理の常任理事国の改革がブラジル側の大きな焦点でした。
これに対し、中国は、「中伯両国は、優先事項として安保理に途上国を増やすなど国連の包括的な改革を支持し」、「中国は、ブラジルの途上国内で最も大きい影響力と役割に高い重要性を与え」、「国連におけるより傑出した役割を果たしたいというブラジルの大志を支持する」といった声明を出している。
(a China e o Brasil apoiam uma reforma abrangente da ONU, incluindo o aumento da representação dos países em desenvolvimento no Conselho de Segurança como uma prioridade. A China atribui alta importância à influência e ao papel que o Brasil, como maior país em desenvolvimento do hemisfério ocidental, tem desempenhado nos assuntos regionais e internacionais, e compreende e apóia a aspiração brasileira de vir a desempenhar papel mais proeminente nas Nações Unidas.)
すなわち、安保理改革に関して大きな反対はしていないものの、その候補者は「途上国」であり、日本やドイツなどの参加に対しては依然として肯定的でなく、ブラジルに対してもまた直接支持してはいない曖昧な表現にすぎない。
人権問題についても、「両国が人権に関する2国間の会談を強化し、経験と良い実践との交換を促進する」という表現となっており、ブラジルは貿易関係の強化を重視するあまり中国の人権状況について何ら懸念を示さなかった模様だ。
ブラジルが昨年指摘した「通貨戦争」については、言及さえしていない。
(日本以上にブラジルは中国の元安にダメージを受けており、事態は深刻なはずなのですが。)
まぁ、二国間の友好的な会談であえて重要な他国を非難する利点はありませんし、上の問題については多国間の場で控え気味に批判し、とりあえずは今回の首脳会談を活用して貿易関係・構造の改善に徹しようという現実的な戦略かと思われます。
以上、個人的に2011年4月の中伯首脳会談を分析してみました。
日本との会談はいつ頃になるのでしょうかねぇ。。とりあえず災害・放射能問題が落ち着かない限り会談は実現しないでしょう。