9月8日(火)
午後2時、病院へ。検査後まだ一週間で来てしまったので、みょうに病院慣れしている自分が恥ずかしい。
もしかしたら鼠蹊部から「入れる」ことになるかもしれないからと、ふんどしみたいなのを病院内のローソンで買わせられ、その部分周辺におがっているもさもさしたものを退治する。いや、看護婦さんにやっつけていただく。セックスする間柄にもない女性にそんなところを見られるのは生まれて初めてなので死ぬほど恥ずかしいかと思いきや、そこは還暦プラス一才、どうとでもやってくれい!と開き直り、でも、いやあ、まいったね。
9月9日(水)
術後は自分でトイレに行っちゃダメなの、というわけで、鼠蹊部の真ん中あたりにある突起(もしてないけど)ブツに管を突っ込む。突っ込まれた瞬間体中が熱くなる。じょじょじょじょじょと出てるものを感じる。これでいいのだ。
(じょじょじょじょじょの貯まる袋に)血は出てないみたいだね、と術直前の昼過ぎに来た妻に言われる。
忘れもしない看護婦Wさん、担当があなたのようなあっけらかん、我が妻とも仲良く慣れてしまう女性でほんとによかった。そこらのねーちゃんだったらわたしは耐えられなかったであろう。絶対、耐えられなかったで。
Ki医師かと思われていた担当医はKa医師だった。目元が良く笑う堺雅人のような人である。CTの結果を聞きに来た時の担当もこの人だった。ほんとに明るい、好人物でね、まじよかった。麻酔、すぐに足してくれたし、術後の「入口」も傷まなかったし、何より鼠蹊部からの侵入に至ることなしに右腕からだけの施術に成功してくれたし、つうことはふんどしも剃り毛も必要なかったってことだけど、そこはいつそうなるかわからない手術なんだからしょうがなかったのである。
約1時間半のカテーテル手術はそうして無事終わったんであった。
9月10日(木)
術翌日、なんもしない人......の日。なんもやることないから妻という話し相手も病院には入れないし、ネット見るのに持ち込んだアイパッドもどきも電池切れるし、隣の親父は動くたびにやたらすべての息が荒々しいし、ひたすら藤野千夜さんを読む。いいよ、藤野千夜。ぐいっと泣ける。
9月11日(金)
もう退院だっつのに中々点滴の針を抜きに来てくれない看護師さん。何やってんだか、と思ってうるちに先に妻が登場。
そしてやっと針を抜きに来たのはWさん。夫婦で歓待する。とにかくやたら最高な看護婦さんなのだ。そしてわたしの針を抜く三十台、夫一人、子供一人。栄養士の食事の注意点なるお話を聞くとまた来てくれて退院の諸々の書類をくれた。そうしていろいろ説明されながら笑顔で病院を去る還暦プラスワンの高血圧夫婦。(実は妻も今年の二月、この病院に救急車で運ばれたのだ。ただの高血圧だったけれど、バルタン星人もでていないテレビの登場人物が何人にも見えちまったんだからしょうがなかったのである)
とにかくありがとう、検査の時の菊田医師、渡邊さんをはじめとする看護師のみなさん、事務の板橋さん、そして何より上手に術ってくれた亀山医師。来年の3月、また検査にきますのでその時まで絶対にやめないでね。お願いします。