定期検診があった。タクシーの運転手のおんつぁま、じっちゃまたぢの定期検診である。
わざわざ休みの日に車を出してきて受ける検診なんてのは、速やかにとっととすまして
何事もなかったかのように静かな休日の一日に戻りたいもんだが、そうは問屋が卸さない。
あっちで泣きわめくおんつぁん、ぐっと涙をこらえてうつむいているおんつぁん、
ああでもないこうでもないと看護師さんと言い合ってるじじい、
それに対してああなのだこうなのだ、だから、と言い含め不可能なじじいに大声で対抗する看護師、
おしゃべりなじじいににこにこ3倍ぐらいのおしゃべりで返す看護婦。
ここは大人の、しかもほとんどが50歳すぎの粛々たるべき定期身体検診会場のはずだが、
どうしても俺には幼い日に受けた、そっちこっちで注射から逃げ回る奴らの鳴き声が響き渡る
小学校の身体検査が思い出されてしゃあないのであった。
ちなみに、あっちで泣きわめいていたのは、やはりどうしても採血の注射を受け入れられない
相撲取り的体系のおんつぁん、
ぐっとこらえてうつむき、自らの太い腕に沈没していたのも同じく針が怖い、学生時には
柔道部にでも所属してたんじゃねえのっつーおんつぁまである。
いや、まじで。